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公認心理師試験対策用の参考書は何が良いのか―自身の勉強法が確立していない人の参考までに―

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ある方からメッセージ欄を通じてタイトルのような質問があった。

結論を先に言うと,

1.公認心理師試験の過去問

2.臨床心理士試験の過去問


3.ブループリントで1と2で見かけなかった用語を確認する

「だけ」をやるのが良いように思える。

1は,これからどこかの出版社が解説付きで出してくるだろう(私も本試154問の解説はここで行う予定であるが,そこでどのように「過去問」をやっていくのかの私のやり方を「披露」できればと思っている)。

2は,既に

が4巻出ている。

1が北海道の追試を含めて約300問,2が解説が付いている過去問だけで約480問あるので,約800問の演習ができることになる。

公認心理師試験で話題となった事例問題も,この臨床心理士試験の事例問題で十分対応できるだろう。

過去問だけやって知らない用語とかが出たらどうするんだ!」という話であるが,それは「合否に関係しない」ということで無視しても大丈夫だと思われる(後ほど述べる「ほぼ不可能問題」である)。

「過去問だけ」とはいえ,そこに「解らないところを調べる作業」&「気になった項目を読んでみるという作業」も入ってくるので,そこで色々と「過去問にない」ものを拾えるという具合である(*ここで初めて「参考書」の出番となる)。

そもそも合格は得点率60%に設定するとなっている。

ということは,60%取らせないと「いけない」わけだ。

たとえば大学の先生だと以下のような感じになる。

つまり,出題者1名が5問出すとすると,3問は余裕で答えられる問題を出してくることになるだろう。

要はその3問を確実に押さえれば合格するというわけである。

まあ,逆に2問はほぼ回答できない問題を出す必要があるということでもある。

そうしないと,得点率を60%に出来ないからだ(笑)。

5問の例を出したが,個人的には,出題者1名に割り当てられているのは,

・知識問題2問

・事例問題1問


だとみている。

つまり,出題者は,2問は余裕で答えられる問題を出し,残り1問はほとんど答えられないような問題を出してくるはずである(上述したように,そうしないと得点率60%に出来ないからである)。

ちなみにより正確には

1問 余裕問題

1問 微妙問題(←出題者の腕の見せどころな問題)

1問 ほぼ不可能問題


だとは思うが,微妙問題も過去問で鍛えていれば余裕問題になっているはずである。

あ,問題の分析はさておき,とにかく公認心理師の「過去問」が出来たことで,臨床心理士の「過去問」をやって良いという判断が確実となった。

とにかく1と2「だけ」を集中してやることをおすすめしたい

追記
過去問のやり方は「とにかく繰り返す」ことに尽きるだろう。

臨床心理士試験で落ちた人のコンサル(?!)を何人かしたことがあるが,「過去問やりました」にもグラデーションがあり,1回やっただけだと,それはやったことにならず,せめて5回はやって欲しいとところである。

800問を5回やるつもりで試験日から逆算すれば準備もしやすいだろう。

5回と言っても,3回目くらいからは「スラスラ」と解けるので,そんなに時間はかからないはずである。

なお,私は大学受験生のときに4浪したが,私の4浪の最大の要因は,この「とにかく繰り返す」をしなかったことである。

次々と有名な参考書に手を出しては,最初の2ページぐらいしかやらなかったのだ。

これを反省し,何か1冊を中心に据え,それを繰り返すだけで,バリバリ受かるようになってしまった(臨床心理士も公認心理師も「現役」で受かっている)。

アホみたいに単純な話だったのだ(笑)。


さらに追記
具体的な参考書であるが,これは「好み」が存在しているので,各自書店で立ち読みしてお好きなものをという感じだろうか。

あえて私個人のおすすめを公認心理師現任者講習会テキストに沿って挙げるとすれば以下のものになるだろう(これもあくまで私の「好み」にすぎない)。

1.公認心理師の職責

公認心理師試験 これ1冊で!最後の肢別ドリル 2018年 08 月号 [雑誌]: ハイローヤー 増刊
辰巳法律研究所
2018-06-29





・当ブログの「公認心理師の職責」記事

*当初の予想に反してほとんど出題されなかった分野。

2.関係行政論

公認心理師現任者講習会テキスト[2019年版]
金剛出版
2018-12-20






・当ブログの「関係行政論」記事

*ネットで調べた方が早い分野。

3.精神医学を含む医学

精神診療プラチナマニュアル
松崎朝樹
メディカルサイエンスインターナショナル
2018-03-29

精神疾患・メンタルヘルスガイドブック: DSM-5から生活指針まで
American Psychiatric Association
医学書院
2016-09-01





・当ブログの「精神医学を含む医学」(わかりにくいところだけ抜粋)記事

*3冊から「好み」で選択すると良い。

4.心理的アセスメントと支援

公認心理師現任者講習会テキスト[2019年版]
金剛出版
2018-12-20






・当ブログの「心理的アセスメントと支援」(わかりにくいところだけ抜粋)記事

*上ので「心理検査」と「心理療法」は,ほぼオーケーだが,統合的心理療法などは下のしか載っていない(が,上の本も次の版で載るのではないか)

*ロールシャッハは本試験,追試験ともに出なかったようである。

5.基礎心理学

'18-'19年版 臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集
心理学専門校ファイブアカデミー
ナツメ社
2018-01-15





心理学 第5版
東京大学出版会
2015-07-27

・当ブログの「基礎心理学」(わかりにくいところだけ抜粋)記事

*「基礎心理学」が苦手な場合は,上の本の該当箇所真ん中の本の最初の80ページくらいだけ読んでのぞむ手もある(笑)。ただ,過去問やるだけで十分だとは思うのだが。

*統計学の問題もほとんど影響がないレベル(統計全問で事例問題1問分くらいの配点しかない)なので,苦手なら「捨て」ても問題ないだろう(笑)。

【比較的お手頃価格の事典】

以上,いろいろ挙げたが,これらはあくまでも参考書であり,

1.過去問のわからないところを調べる。

2.過去問で苦手だった分野を集中的に読む。


のに使うのが良いだろう。

何か質問等あれば,コメント欄で受け付けます。

↓ この記事の解説動画

これで公認心理師試験系の記事は最後となる。最後は何だか覚えにくい精神医学系のカタカナ語を独断と偏見で10個集めてみた。あくまでも私の場合の覚えにくさなので,簡単な人にとってはどうということはない単語かも。

1.サルコペニア (125頁)

加齢により運動神経伝導速度は低下し骨格筋の筋肉量減ること

2.フレイル (125頁)

加齢により心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し,複数の慢性疾患の併存などの影響もあり,生活機能が障害され,心身の脆弱性が出現した状態

3.パラソムニア(睡眠時随伴症) (154頁)

入眠前,睡眠中,睡眠からの覚醒時に生じる不快な身体的現象

→ ノンレム・パラソムニアとしては錯乱性覚醒,睡眠時遊行症, 睡眠時驚跨症などがあり,深睡眠期に発生し,本人の記憶はない

→ レム・パラソムニアとしてはレム睡眠行動障害(男性に多く,レビー小体型認知症への移行もる),反復弧発性睡眠麻簿,悪夢障害などがあり,本人は記憶できる

4.ミオクロニー発作 (158頁)

体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動く

5.アカシジア (166頁)

じっとしていられず,落ち着かなくなる.(*錐体外路症状

『公認心理師必携テキスト』(学研)

6.急性ジストニア (166頁)

顔や首が強くこわばる,首が反り返る,目が上を向いたまま正面を向かない (眼球上転),舌が出たままになる,ろれつがまわらない,体が傾く,手足がつっぱるなどの症状をいう.(*錐体外路症状

『公認心理師必携テキスト』(学研)

7.遅発性ジスキネジア (166頁)

抗精神病薬などを長期間使用していると出現する,自分では止めらない,または止めてもすぐに出現する動き (繰り返し唇をすぼめる,舌を左右に動かす,口をもぐもぐ、させる,口を突き出す,歯を食いしばる,目を閉じるとなかなか開かずしわを寄せている,勝手に手が動いてしまう)などの症状をいう.(*錐体外路症状

『公認心理師必携テキスト』(学研)

7.プレコックス・ゲフュール (臨床心理士資格試験過去問)

統合失調症をもつ人と相対した時に,観察者に起こる特有の感情。「何となくいやな感じ」や「お互いに心が通じない感じ」などと表現されることもある。

『臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集』(ナツメ社)

8.カタレプシー (臨床心理士資格試験過去問)

受動的に取らされた姿勢を保ち続ける症状

『臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集』(ナツメ社)

9.セネストパチー (臨床心理士資格試験過去問)

身体医学的に理解することができない奇妙な感覚と,身体の変容の確信に基づいた訴えを執拗に繰り返すものをいう。例えば,「歯が伸びて,体の中をかき回す」などが挙げられる。

『臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集』(ナツメ社)

10.肝チトクロムP450酵素 (163頁)

肝臓においてほとんどの向精神薬は,肝チトクロムP450 (CYP) 酵素により代謝される。

臨床心理士資格試験を通過した人でも馴染みが薄い(であろう)分野を中心にまとめた公認心理師試験対策記事の使い方

時間の関係上,全てをまとめることはできないが,馴染みが薄そうなところを中心にまとめてみた(継続中)。
study_night_boy
機ジ認心理師の職責

これは, 公認心理師法と それから派生する諸々について17記事でまとめた。

供ゴ愀弦埓論

これは臨床心理士資格試験の過去問と,そこに出てこなかったものをテキストそしてブループリントから40記事でまとめた。

掘ダ鎖整絣悗魎泙牋絣

これは, ICF, 難病,そして 薬物療法をまとめた。オマケでぅ屮襦璽廛螢鵐箸痢21】の用語を全て取り上げてみた(難病と少し被ってしまったが)。

検タ翰的アセスメントと支援

主に各心理検査をまとめ,最後に予防をまとめた。ただし各心理検査に関しては公認心理師試験に出るかどうかは不明である。

后ゴ霑耽翰学

これは, 脳と神経系のところ,そして 言語, 感情のところをまとめた。

記事にはタグを付けているので,興味のある方(いるのか?!)はタグをご活用ください。


*臨床心理士資格試験の過去問にない場合は,「オリジナル」問題を掲載しているが,それらは全て『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版』の文章を改変したもので,本当の意味で「オリジナル」ではない(ただ,私はその方が試験対策には良いと考えている)。

精神医学を含む医学(オマケ)【ブループリント】(出題割合 約4%) 21 人体の構造と機能及び疾病 (1)心身機能,身体構造及びさまざまな疾病と障害,(2)心理的支援が必要な主な疾病

21
『公認心理師試験出題基準 平成30年版』(一般財団法人 日本心理研修センター)より

皆さんも苦労するであろうところをオマケで書いてみた。例によって私のまとめでは心許ないと思うのでブループリントの解説を有名どころと現任者講習会テキストのコラボで作成した(笑)。

(1)心身機能,身体構造及びさまざまな疾病と障害

 
人体の正常構造と機能
とは,人体を構成する各器官の解剖学的・組織学的構造およびそれらの生理機能 (役割) のことである.

加齢に伴う変化として,身体・生理面では骨・身体組成の変化 (骨粗霧症,圧迫骨折,後弩,筋肉量の減少,骨塩量の減少),心・血管系や呼吸器系の変化 (動脈硬化,心拍出量の減少,肺活量の減少),知覚器官系の変化〔視力低下,水晶体の黄色化,硝子体の混濁,聴覚低下 (高周波数の音から低下) 〕などがあり,心理精神機能では脳の萎縮認知機能の低下,短期記憶の低下,流動性知能の低下および結晶性知能の向上などが挙げられる.

<橋口コメント>
結晶性知能は向上している。

 めまいには, 頭がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」と,グラグラするタイプの 「非回転性めまい」 あるいは 「動揺性めまい」 がある.

倦怠感とは,「しんどい,疲れる,力が入らない,集中力がない」 のように表される認知的・感情的・身体的な主観的感覚で,エネルギーが少なくなっている状態である.

呼吸困難とは, 「呼吸がしづらい」 「息が詰まる感じ」 「空気を吸い込めない感じ」 などの症状をいう.

Α循環器疾患とは,主に心臓や血管に関する疾患のことで,虚血性心疾患 (狭心症・心筋梗塞),高血圧不整脈,心不全などが代表的な疾患である.

А内分泌代謝疾患とは,内分泌 (ホルモン) の異常によって起こる疾患で,糖尿病甲状腺機能充進症・低下症などがある.

<橋口コメント>
甲状腺機能充進症・低下症からも,うつ病が発生する。身体疾患→うつ病という心理職の弱点を顕にするところと言えるだろう。出題するならここではないか。

呼吸器系疾患とは,気管支,肺,胸膜などの呼吸器の疾患で,気管支炎,肺炎,肺がん,慢性閉塞性肺疾患などがある.

<橋口コメント>
Α銑┐蓮ね儻譟楡睫席犬陵儻譴里箸海蹐鯑れ替える出題パターンなのではないかと。

なお,「主要な症候には全身性のものと局所性のものとがある。発熱,疲労,ショック,けいれんなど全身性のもの,瘻痛,失神,めまい,呼吸困難動悸,嚥下障害,悪心,下痢など局所性のものでそれぞれ全身的なあるいは局所臓器・組織の病態生理が想定される。」(公認心理師現任者講習会テキスト p.129)

 銑─惴認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 90 より

 神経疾患とは,中枢神経系 (脳・脊髄) および末梢神経に生じる疾患で,脳血管障害パーキンソン病,脊髄小脳変性症,ギラン・バレー症候群などがある.

 筋・骨格系疾患とは,骨,関節筋肉,靱帯など運動器官の疾患で,腰痛,骨折,関節リウマチ,骨肉腫などがある.

(2)心理的支援が必要な主な疾病

 がんは悪性腫瘍全体を示し, 上皮細胞から発生する肺がん,乳がん,冑がん,大腸がん, 造血器から発生する白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫, 骨や筋肉などの非上皮性細胞から発生する骨肉腫などがある.

 難病の多くは原因がわからず,また治療法も確立していないため,クライエント,家族の不安が大きい.このため心理的支援が重要とされる.

<橋口コメント>
「2014(平成26)年,難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)によって,医療費助成等が定められた。難病とは,発病の機構が明らかでなく,治療法が確立していない希少な疾病であって,長期の療養を必要とするものをいう。このうち,患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので,患者数が人口の0.1%未満であって,客観的な診断基準等が確立しているものを指定難病として医療費助成の対象としている(2017(平成29)年現在330疾病)。一方,障害者総合支援法においては,発病の機構が明らかでないこと,患者数が人口の0.1%未満であることを条件としていないので,2017(平成29)年現在で358疾病が対象疾病とされている。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 137)のだそうだ。障害者総合支援法では指定難病の条件がないところがミソですな。

 遺伝カウンセリングでは.遺伝性疾患の発症やそのリスクに関連した情報を提供し,患者や家族がそれらを理解したうえで意思決定ができるように支援する.また,各種医療情報やサポート源に関する情報の提供も行うため,十分な遺伝医学の基礎的・臨床的知識が必要となる.

 身体科医療提供施設での特殊な支援として,後天性免疫不全症候群 (AIDS) に関するものがあり,当事者の不安などに対するカウンセリングや日常における投薬コントロールなどの心理教育を,公認心理師が担うことも期待されている.

<橋口コメント>
「近年では治療薬の開発により早期の服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく通常の生活を送ることが可能である。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 133)のだそうだ。

〜『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 91

 脳血管疾患による後遺症 (脳卒中後遺症) として,運動障害,言語障害,高次脳機能障害などがあり,さらにリハビリテーションを円滑に進めるための心理的支援が必要とされる.

循環器疾患には,虚血性心疾患や高血圧心不全不整脈があり,生活習慣との関連も深いため,心理教育が必要なケースもある.

内分泌疾患によって,精神症状をきたす場合には心理的支援が必要となる.また糖尿病の人は糖尿病でない人と比べて,抑うつ症状を有する人が約2倍程度多いといわれている.うつ病になるとインスリンの作用が弱くなったり,糖尿病の治療に必要な行動に支障が出てくる場合があり,心理的支援が必要とされる.

薬物,アルコール,ギャンブルなどの依存症に関しては相談機関医療機関でのクライエントおよび家族に対する相談,心理教育プログラムの実践などを通して心理的支援が行われる.

<橋口コメント>
>アルコール依存症
*依存症 (薬物, アルコール, ギャンブルなど)使用障害ともよばれる.薬物,アルコール,ギャンブルなどの物質や行動によって得られた快楽が, 繰り返されるうちに, 脳がその刺激に慣れてしまい, より強い刺激を求めるようになる. その結果, 物質や行動が,コントロールできなくなってしまう状態である(p. 485)

*DSM-5では依存という言葉は使用されなくなり,「アルコール使用障害」と定義されるようになった.

軽い離脱症状:飲酒中断後数時間内に,睡眠障害,自律神経症状 (発汗,頻脈など),不安不穏,振戦が生じる.
振戦せん妄 : 飲酒中止後5日以内に,振戦とせん妄状態意識障害,失見当識,幻覚 (小動物視), Liepmann現象 (振戦とせん妄の初期などに閉眼状態で上眼瞼をすこし圧迫して暗示することで幻覚が生じること).
・アルコール離脱幻覚症幻聴が特徴.

>アルコール精神病
・アルコール性嫉妬妄想:主に男性にみられ,相手の不貞を確信する妄想
・アルコール性Korsakoff精神病:記銘力障害,見当識障害,作話
・アルコール性痴呆:大脳の萎縮を認める.

>アルコール依存症の治療
・自助グループ:断酒会,アルコホーリクス・アノニマス (AA: AIcoholics Anonymous)
抗酒薬 (シアナミド,ジスルフィラム)

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)pp. 488-9

ここまで手が回るかどうか・・・。

移植医療におけるレシピエント (臓器被提供者) とドナー (臓器提供者) 両方に対する心理的支援が必要になる.レシピエント (臓器被提供者) は移植後ステロイドを長期に服用しなければならず,経過に対する不安もある.またドナーに対して罪責感を抱く場合もあり,それに対する適切な心理的支援が必要である.ドナーが親族である場合は,誰がドナーになるかを決定する際にさまざまな葛藤が生じ,親族内に潜んでいた問題が顕在化することもある.自ら健康で自身の体には利益のない手術を行うことになるため,このような問題に対する心理的支援は不可欠となる.

<橋口コメント>
「2010(平成22)年には改正臓器移植法が施行され,脳死臓器提供が本人の生前の意思表示と家族の承諾でなく,本人が生前に拒否の意思を示していなければ家族の同意で可能となった。これにより15歳未満の子どもからも脳死臓器提供が可能となった。臓器提供の意思は専用の意思表示カード被保険者証運転免許証の裏で示すことができる。生体臓器移植を除き,移植希望者(レシピエント)は日本臓器移植ネットワークに登録する。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)のだそうだ。なお,「提供者(ドナー)の状態によって,脳死臓器移植,心停止後臓器移植,生体臓器移植がある。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)らしい。3つは覚えておく方が良いような。

〜魁惴認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 92

再生医療は,機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して,細胞を積極的に利用して,その機能の再生を図る医療である.新しい領域であるため,費用面,安全面,そして倫理面の問題がある.公認心理師は最先端の医療に関する理解を深めると同時に,これらの問題をクライエントと共有しつつ心理的支援を行うことが求められる.

<橋口コメント>
「再生医療とは,身体の構造・機能の再建・修復・形成または疾病の治療・予防を目的として細胞加工物を用いる医療であって,そのうち,輸血,造血幹細胞移植,生殖補助医療を除いた再生医療等技術は2014 (平成26)年施行の再生医療等安全性確保法によって規制されている。同法では体細胞加工等低リスクのものから,体性幹細胞など現在実施中の中リスクのもの, ES細胞やiPS細胞等ヒトに未実施など高リスクのものなどリスクに応じて提供開始までの手続 (製造管理・品質管理・提供等の基準も含む)が定められている。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)らしい。iPS細胞は高リスク品だったのね。

㉑ がん患者やその家族に対して心理学的にアプローチする専門領域がサイコオンコロジー (精神腫瘍学) である.がんの診断 (告知) ,初期治療,再発,積極的治療の中止,終末期の経過に伴う不安やそのほかの心理的問題に対応する.

<橋口コメント>
サイコオンコロジーという響きから,対象が広いかと思いきや,がん患者(とその家族)だけが対象のようだ。

㉒ 緩和ケアとは,がんなどの生命を脅かす疾患と診断された時から,患者とその家族が,可能な限り質の高い治療・療養生活が送れるように,身体的症状の緩和や精神心理的な問題,人生や生きる意味の問題 (スピリチュアル・ペイン) などへの援助を行うことである.

<橋口コメント>
「WHO (2002) は緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,疾患の早期より痛み,身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題に関して,きちんとした評価をおこない,それが障害とならないように予防,対処することで人生の質 (QOL) を改善するためのアプローチであると定義している。すなわち,緩和ケアとは病気にともなう心と体の痛みを和らげることである。また,緩和ケアは本人や家族が「自分らしく」過ごせるように支えることを目標にしている。緩和ケアは入院中は緩和ケア病棟または緩和ケアチームによって受けることができるが,外来においては緩和ケア外来で訪問診療や訪問看護と連携した在宅緩和ケアを含めて自宅で,あるいは慣れ親しんだ地域の介護施設で受けることができる。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 136)入院しなくても外来で緩和ケアは受けられるというところがポイントかも。

㉓ 終末期ケア (グリーフケア) とは,人生の最終段階における医療・ケアのことを指す.医師をはじめとした医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ,それに基づいて医療・ケアを受ける本人が,多職種から構成される医療・ケアチーム,また本人の信頼する家族らとともに,繰り返し話し合う中での意思決定を基本としたうえで進めることが最も重要な原則となる.

<橋口コメント>
人生の最終段階から家族は死別を感じ続けており(予期悲嘆),死後様々な心理反応を呈する。死別にともなうこれらの心理反応を悲嘆と総称する。悲嘆の心理反応の多様性や順番,強度や持続に関し,リンデマン(1944),フインク(1967),サンダース(1989)など多様な悲嘆プロセスモデルが提出されているが個人差がある思慕の情を除きほとんどの心理反応は6カ月以内に安定するが,一部の悲嘆は強度が持続,6カ月以上遷延するなど複雑化し日常生活に支障をきたす。このような悲嘆は,複雑性悲嘆と呼ばれる。正常の悲嘆,複雑性悲嘆に対する心理ケアを悲嘆のケア(グリーフケア)という。(公認心理師現任者講習会テキスト  p.138)死別の前から悲嘆はあり,死別後,半年で安定するが,半年では安定しないものもある,ということだろう。ポイントは,複雑性悲嘆だけでなく,正常の悲嘆もグリーフケアは対象にしているところだろう。

粥㉓『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 93

精神医学を含む医学(3)【ブループリント】「22 精神疾患とその治療 (2)向精神薬をはじめとする薬剤による心身の変化」

【オリジナル問題】

1.向精神薬は,その適応となる疾患別に,抗うつ薬,抗不安薬(睡眠薬としても用いられる),抗精神病薬,気分安定薬の主に4つのカテゴリーに分類されている。あるカテゴリーに属する薬剤は他のカテゴリーに対応する疾患には無効である。

2.薬物動態学とは,薬剤が身体に及ぼす影響に関するもので,薬剤が脳内のどのような蛋白分子(受容体)に作用して薬理学的効果を発現するのかという作用機序を明らかにする。

3.向精神薬による治療は,対症療法なので,薬剤の種類の選択は精神疾患の診断よりも治療の標的となる症状や状態像に基づいて行われることが多い。

4.向精神薬はプラセボ(偽薬)効果が小さく,治療関係は反映されないと言われている。

5.向精神薬の中には,ベンゾジアゼピン系抗不安薬・睡眠薬のように服薬後15〜30分で早く効果が現れる即効性のものと,抗精神病薬や抗うつ薬のように10〜14日間投与しないと効果の発現が明らかにならない遅発性のものとがある。

6.薬剤による精神障害には,治療や治療の目的で投与された薬剤によって惹起される場合と嗜好目的にて摂取された薬剤によって誘発される場合がある。

【オリジナル問題】

1.高次脳機能障害医療における「心」を専門とする活動をサイコオンコロジーという。

2.緩和ケアを受けることができるのは入院中に限られる。

3.難病法,障害者総合支援法では,難病は発症の機構が明らかでなく,患者数が人工の0.1%未満の疾病のことをいう。

4.キューブラ―・ロスは,すべての患者における死に至る心理過程は,否認→怒り→取引→抑うつ→受容の5段階のプロセスを経ると論じた。

5.死期が近いときの医療についての希望をあらかじめ書面に記しておくものがリビングウィルや事前指示書であるが,書面や口頭による意思表示がなくても,家族などよく本人を知るものからの本人の推定的意思があればよいとされている。

6.小児には慢性疾患の認定はない。

7.悲嘆は思慕の情を除きほとんどの心理反応は1カ月以内に安定するが,一部の悲嘆は強度が持続,1カ月以上遷延するなど複雑化し日常生活に支障をきたす。このような悲嘆は,複雑性悲嘆と呼ばれる。正常の悲嘆,複雑性悲嘆に対する心理ケアを悲嘆のケア(グリーフケア)という。

8.2010(平成22)年には改正臓器移植法が施行され,脳死臓器提供が本人の生前の意思表示と家族の承諾でなく,本人が生前に拒否の意思を示していなければ家族の同意で可能となった。

9.2014 (平成26)年に施行された再生医療等安全性確保法では体細胞加工等低リスクのものから,体性幹細胞など現在実施中の中リスクのもの,ES細胞やiPS細胞等ヒトに未実施など高リスクのものなどリスクに応じて提供開始までの手続 (製造管理・品質管理・提供等の基準も含む)が定められている。

10.腎臓病が進行して腎臓機能低下がある状態を腎不全といい,治療により機能回復の可能性がある急性腎不全と,数カ月から数十年でゆっくりと進行し回復がみこめない慢性腎不全とがある。


『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

【オリジナル問題】

1.ICDモデルで疾病,機能障害,能力障害,社会的不利など「〜できない」と評価され,障害と定義されていた状態は,ICFモデルでは健康状態,心身機能・身体構造,活動,参加におけるよりニュートラルな評価「〜できる程度」で健康の程度と定義されている。


2.ICIDHでは疾病から社会的不利へと向かう病因論.因果論的モデルに基づいていたが,対象者の環境因子や個人因子を背景因子として包括的に考盧するICFの観点は,同じ疾病や健康状態であったとしても個人の生活するコミュニティの状況によって社会参加の程度が変わるという相対性を強調しているといえる。

3.ICIDHモデルからICFモデルへの転換は欠点や障害をもつ少数者,弱者を対象としてその克服に焦点をおいていたリハビリテーションモデルから強みや積極的な社会参加に着目して普遍的にあらゆる人に応用可能なストレングスモデルへの変化であり,事象のポジティブな側面を強調する現代の潮流と合致している。

4.障害調整生命年とは,疾病や健康状態によって損なわれた健康的な生活の年数(障害生存年数)を早死による損失生存年数に加えたものであり,死亡率と疾病率を単一指標で示す指標である。

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