【問題 33】

 TATに関する次の記述のうち,適切なものに○,×をつけた場合,下のa〜eの組み合わせの中から,適切でないものに正しいものを一つ選びなさい。

A. ほとんどのTATカードには人物が描かれているので,被検査者の人間関係の様相が,物語に表れやすい。

B. パーソナリティ理解にとって重要度の高い5枚のカードが定められており,通常の実施においてはそれらが優先的に用いられる。

C. TATの物語は,被検査者の想像の産物というよりは,むしろ実際の体験を直接に表していると考えた方がよい。

D. 物語はすぐれてideographic (個性記述的)であるから,一定の規準に照らして量的な分析を行うのは困難である。

『臨床心理士資格試験問題集4』(誠信書房)より






 投映法の中ではロールシャッハ・テストと並んで有名なTATに関して,アセスメント業務の基礎的知識を問う問題である(*第1回公認心理師試験に出題されました)。

A 正しい(○)。記述の通りである。

B 誤り(×)。 TATカードについて重要度の高さを判定するのは非常に主観的作業であり,研究者問でも一致しないことが多い。したがって,通常「重要度の高い」カードを優先して用いるというのは明らかな誤りである。

C 誤り(×)。バイオリンを習った経験や農家に生まれ育った経験,ましてや殺人の経験などまったくない被検査者が,これらをテーマにした物語を与えることは非常に多い。したがって,実際の体験を直接に表しているという記述は誤りである。

D 誤り(×)。 TATは心理検査である以上,その解釈を行う際には,普遍的で比較可能なパーソナリティ構成要素を取り出し,特定の個人におけるそれを,ある基準に照らしてその大小・多少・強弱を判断する姿勢が求められる。したがって,この記述は誤りである。


『臨床心理士資格試験問題集4』(誠信書房)より


【橋口(2018)追記】
 TATもベスト20圏外であるが,投映法といえば,ロールシャッハとTATという感じなので,とりあげておいた。臨床心理士資格試験にはよく出ているが,公認心理師試験には出るかどうか不明である。


<TAT>(Thematic Apperception Test:主題統覚検査)

Morgan(モーガン)と Murray(マレー)が開発。

→ 『空想研究の一方法』という論文の中で紹介。

・空想による物語を通してパーソナリティを明らかにする投映法。

→ 精神医学的診断のために開発されたのではない

・Bellak(ベラック)がCAT(幼児児童用:動物が主人公),SAT(高齢者用:老人が主人公)を開発。

・分析はマレーの欲求ー圧力理論に基づく(←試験的には,P-Fスタディの欲求不満理論と入れ替えることが多い)。

欲求:主人公が環境に向ける願望

圧力:環境から主人公に及ぶ作用

→ 欲求と圧力の相互作用から生まれるエピソードからパーソナリティが判る。

→ エピソードの中で生まれる主題,そしてそれを意味づける統覚から生まれる物語を分析。

・様々な場面が描かれた図版20枚と白紙1枚の計31枚の図版がある。

→ 無性別10枚,男性用10枚,女性用10枚,白紙1枚

→ 人物が描いてない図版もある

→ 1・・・2・・・3BM・・・3GF・・・16(白紙)・・・20

*B=ボーイ,M=マン,G=ガール,F=フィーメイル,と相手に依って第3図版などは使い分ける。

・教示は相手に合わせる。

・原法では,

第一系列(想像する)(10枚)

少なくとも1日感覚を置く

第二系列(物語る)(10枚)

→ 日本では,被験者に応じて何枚か選び1回で施行する

・被験者が語った物語に見られる欲求と圧力の程度を標準値と比較して5段階で評価する。

→ 標準化された実施法も解釈法も存在しない


余談:相談機関では,どこかの引き出しの奥でホコリまみれになっていることが多い。いかに使われていないのかということが判る。


<参考文献>
『臨床心理士資格試験徹底対策テキスト&予想問題集』(ナツメ社)