【問題 43】
 
 描画法とその考案者に関する次の組み合わせのうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけた場合,下のa〜eの組み合わせの中から,正しいものを一つ選びなさい。

A. バウム・テスト      ―――――  Koch,K.

B. 動的家族描画法 (KFD) ――――― Burns, R. C. & Kaufman, S. H.

C. HTPテスト        ――――― Buck, J. N. 
            
D. 人物画知能検査 (DAM)  ―――――    Machover, K.


【問題 46】

 次の文章の空欄 [ A B C D ] に該当する語句として,下のa〜eの組み合わせの中から,正しいものを一つ選びなさい。

 心理査定として,また芸術療法としても利用される風景構成法は,1960年代に[ A ]によって考案された。当初は[ B ]患者への箱庭療法の適用を検討するための予備テストであった。風景構成法ではサインペンを用いて[ C ]が画用紙に枠づけすることから始まり,順番に描かれた[ D ]から石までの10個のアイテムから描き手の心象風景を理解する。









【問題 43】

 さまざまな描画法の考案者に関する知識を問うものである。

A 正しい(○)。バウム・テストは , Koch, K. がパーソナリティ検査として発展させた描画テストである。

B 正しい (○)。動的家族描画法 (KFD) は, Burns, R. C. & Kaufman, S. H.によって開発され,加藤孝正らによって日本に導入された技法である。

C 正しい(○)。 HTPは, Buck, J. N.によって考案された。

D 誤り(×)。人物画知能検査 (DAM) は,Goodenough, F. L. によって公刊された。Machover, K. は,それをパーソナリティ検査として発展させた人である。


【問題46】

 描画法にはさまざまな方法があるが,アセスメントとして,また芸術療法として利用されることの多い風景構成法の知識は臨床心理士として必要なものである。人物画や家族画とは異なり,風景構成法では検査者被検者の目の前で枠づけすることが重要であり,アイテムの提示順序も,大きな役割を担っている。この点に関する知識を問う問題である。

A 中井久夫。河合隼雄は風景構成法等における枠づけ法のヒントを中井に与えたといわれているが,風景構成法の創始者ではない。

B 統合失調症。中井は統合失調症を対象とした臨床活動,研究に従事しており,元来は箱庭療法の適否の如何を決定する予備テストであると述べている。

C 検査者。風景構成法は枠づけ法で行われる。枠づけ法は,描き手(被検者)の前で検査者が紙の周囲に枠づけをすることで,枠によって保護し,また自己を表出させるという効果を持つ。

D 川。風景構成法では,検査者が一つひとつアイテムを伝え,その順番も決まっている。特に最初の川によって画面の構成が決定づけられるといわれており,川から始まることの意味は大きい。





【橋口(2018)追記】
 描画法は公認心理師試験に出るのだろうか。条件づけみたいに知識問題としては出せなくもない感じもするので臨床心理士資格試験によく出てくる6つだけをまとめておこう。

<バウム・テスト>【使用頻度1位(小川,2011)】
・Koch(コッホ)が精神診断の補助手段として開発

→ 元々スイスでは,樹木画をパーソナリティの表現をみなし職業適性検査や臨床心理検査に使われていたのをコッホが解釈法を考案し体系づけた。

→ パーソナリティ診断や発達的側面(樹冠,幹:幼型→人型→写実型→省略型)の検討に使用されるようになったが,その全てはわからないあくまで補助手段でテストバッテリーのひとつとして用いる。

・実施方法は,A4の紙に4Bの鉛筆で「実のなる木を1本書いてください」の教示のもとに行う(集団での実施も可)

・コッホは,Grunwald(グランウォルド)の空間象徴理論(無意識的に自己の生活空間が投影される:上は意識,下は無意識,など)を参考にして解釈を示しているが,教義的に用いてはならないとしている。

→ 空間象徴理論は,形態分析(幹や樹冠の形等),動態分析(意思の強さ,感情の豊かさ等),空間分析の空間分析に援用する。

・描き方や筆圧の強さから解釈する方法は筆跡学を基にしている。

ある程度の疾病特異性がみられる。


<DAM>(Draw a Man)【使用頻度圏外(小川,2011)】
Goodenough(グッドイナフ)が動作性知能検査として開発。

・教示は「男の子を1人描いてください」

→ 日本では2つに折った紙を提示し「を1人描いてください。頭の先から足の先まで全部ですよ。しっかりやってください。」と教示する。

→ 女性像が描かれた場合は,2つ折りの紙の反対側に男性像を描くように求める(採点の対称は男性像のみ)。

→ 最初に男性像が描かれた場合はそこまで(でも構わない)。

・身体各部,その比率や明確化の程度で基準に沿って採点する(標準化されている)。

→ 最終的に知能指数(IQ)を算出する。

→ 解釈に当たっては,他のテストとのバッテリーを組む必要がある。

→ 知能検査ができない成人への適用も可。

→ 幼児の発達診断としても応用可。


<DAP>(Draw a person)【使用頻度12位(小川,2011)】
Machover(マッコーヴァー)がパーソナリティ検査として考案。

→ DAMは知能検査。

・「人を1人描いてください」と教示し,描き終わったら,もう1枚の紙に,今描いたのとは別の性の人物を1人描くように求める。

→ DAMの日本式に近い。


<HTP>(House-Tree-Person)【使用頻度7位(小川,2011)】
Buck(バック)が開発したパーソナリティを査定する描画法。

→ Buckの原案では,パーソナリティに留まらず,知能も査定しIQも算出する。

・1枚を2つ折りにした4ページからなる紙とHBの鉛筆を使用する。

1ページめ:日付など

2ページめ:家族関係などが投影される)

3ページめ:無意識的な自己像が投影される)

4ページめ:(身体全体)(意識的な自己像現実的な自己像が投影される。対人関係が投影される)

・描き終わったらPDI(Post-Drawing-Interrogation)と呼ばれる64の質問をする。

→ 言語的なやりとりから解釈の手がかりを得る。

原法には量的分析と質的分析がある。

量的分析:家,木,人それぞれについて,比率や遠近法などを点数化しIQを算出する。

質的分析:かかった時間,態度,順序などから総合的に行う。


<KFD>(Kinetic [キネリック:運動の] Family Drawings)(動的家族画法)【家族画全体として使用頻度15位(小川,2011)】
Burns(バーンズ)と Kaufman(カウフマン)が開発した。

・「あなたを含めて,あなたの家族が何かしているところを描いてください」

描画段階質問段階で構成される。

4項目で解釈される。

人物の特徴:精神分析理論やDAPの解釈を援用。

行為:家族間力動や対人態度

描画の様式:家族メンバー間の離反や接近を7分類し,無力感などを分析。

→ KFDならではの解釈法

象徴:精神分析理論を援用。

*海外においては,家族画法は,家族療法に組み込まれる形で使用されることが多い。


<風景構成法>(Landscape montage techique : LMT)【使用頻度8位(小川,2011)】
・中井久夫が統合失調症者への実践的見地から開発。

・元々は芸術療法だったが,のちに投映法として「」使用されるようになった。

・適用年齢はだいたい6歳以上。

・A4の紙1枚,黒のサインペン,クレヨン等の彩色できるもの。

・画用紙を置いて,必ず検査者描画者の前で枠づけをする。

・「今から私が言うものを、ひとつひとつ唱えるそばからこの枠のなかに描き込んで、全体としてひとつの風景になるようにしてください」と教示。

・「川・山・田・道 (大景群)・家・木・人 (中景群)・花・動物・石 (小景群)・足らないと思うもの」の10個十その他のアイテムを順番に描いてもらう。その後、彩色してもらい(順不同)、完成。必要な質問(季節・天候など)を行い、連想したりする。

→ 私は,「かわやま,たみち,えいち,てぃー,ぴー,ふ(フラワー)ぁ(アニマル)す(ストーン)」と覚えているが汎用性はなさそう(笑)。

・解釈の1つの方法として空間構成の諸形式(*)が中井によって提示されている。

(*)空間の構成の仕方によって、疾患特異性を見定めようとする方法。例えば、「統合失調症妄想型には複数の異質の空間がキメラ的に統合されて描かれる(キメラ的多空間現象)」など、さまざまな精神疾患者について分類がなされている。


<参考文献>
『臨床心理士試験徹底対策&予想問題集』(ナツメ社)