【問題 27】

 質問紙法に関する次の記述のうち,正しいものの組み合わせを下のa〜eの中から一つ選びなさい。

A 心理面接前後の感情や気分の変化を多面的に把握したい場合,最も適している心理検査はBDI-兇任△襦

B 妥当性尺度が備わっており,被検査者の受検態度を確認できる心理検査はMMPIである。

C 不安の程度を,特性という側面と,状態という側面から把握できる心理検査はSTAIである。

D 12の性格特性を示す下位尺度と,その組み合わせによってできる6因子から解釈ができる心理検査はPOMS2である。

『臨床心理士資格試験問題集4』(誠信書房)より


【問題 94】(事例問題)

 自分の状態を知りたいというMさんの希望を受けて,抑うつ度を測るためにSDSを, 欲求不満場面での対処の仕方を見るためにP-Fスタディを,状態像とパーソナリティの把握のためにバウムテストを実施した。SDSの総合得点は56点であり,「自分が死んだほうがほかの者は楽に暮らせると思う」の項目では,「しばしば」を選択していた。バウムテストでは,用紙の中ほどに,こじんまりとまとまった,しだれ柳のように枝が垂れ下がった木を描いた。P-Fスタディでは, 全場面を通して,障害-優位型の反応が最も多かった。検査結果の見立てとその後の対応に関する次の記述の中から,適切でないものを一つ選びなさい。

a. このSDSの得点は,軽度の神経症的傾向を意味する。

b. バウムテストの結果からも,抑うつ傾向が示唆される。

c. P-Fスタディの結果を総合して考えると,抑うつ状態の背景には自己主張性の低さが関与していることが推測される。

d. 自殺をどの程度考えているかについて,Mさんに直接尋ねることが 必要である。

e. 検査結果をMさん本人にフィードバックし,カウンセリングの継続と医師の診察を勧める。

『臨床心理士資格試験問題集3』(誠信書房)より





【問題 27】
 さまざまな質問紙法をアセスメントの目的に応じて選択することは重要である。実施にあたっては,当然のことながら各検査の目的や特徴を理解しておかねばならない。本問は各種質問紙法の基本的特徴についての理解を問うものである。

A 誤り(×)。気分や感情の変化を測定の対象とする心理検査はPOMS2である。この検査は7つ気分や感情を同時に測ることができ,介入前後の変化を検討するのによく用いられる。BDI-兇抑うつの程度を把握する検査である。

B 正しい(○)。 MMPIには4つ妥当性尺度があり,とくにL尺度F尺度, K尺度の3つの位置関係(布置)から被検査者の受検態度を推測できる点が大きな特徴である。

C 正しい(○)。 STAIは状態不安特性不安の両方を測ることができる心理検査である。

D 誤り(×)。この記述に当てはまる検査はY-G性格検査である。


『臨床心理士資格試験問題集4』(誠信書房)より


【問題 94】
  検査バッテリーの見立てに関する問題である。

a 誤り(×)。SDSは自己評価式の抑うつ尺度であり,判定基準は,40点未満:抑うつ性は乏しい,40点台:軽度抑うつ性あり,50点台:中等度以上の抑うつとなっている。したがって,56点は「中等度以上の抑うつ」の判定である。

b 正しい(○)。バウムテストの構図,図の大きさ,下方に力なく垂れ下がる枝は,抑うつのサインとされ,抑うつ感情の投映が認められる。

c 正しい(○)。P一Fスタディにおける障害-優位反応は,フラストレーションに対して消極的な反応であり,相手に直接表現する力の弱さと示すと考えられている。

d 正しい(○)。検査の結果をふまえると,自殺の危険を考慮する必要性が認められた。そこで,自殺をどの程度考えるかをMさんに直接尋ねることで,セッションの中で,自殺への思いを取り上げる。


『臨床心理士資格試験資格試験問題集3』より


【橋口(2018)追記】
 抑うつ尺度と不安尺度を取り上げるためにこの2題を選んでみた。エビデンスベースト云々の話のときは,よく効果測定の話が出てくるわけだが,そこでよく例に挙げられるのが,抑うつと不安である。抑うつ測定では,自己評価でBDI(ベック抑うつ質問票),他者評価でHAM-D(ハミルトン抑うつ評価尺度),不安では,自己評価でBAI(ベック不安質問票?!),他者評価でHAM-A(ハミルトン不安評価尺度)が出てくるのがお約束となっている。この4つを取り上げてみようと思ったが,臨床心理士資格試験では,BDIがちらほら出題され始めている感じにはなってきているが,他の3つはまだ1度も出題されていないようだ(笑)。公認心理師試験には出るのだろうか,試験には役に立たない可能性もあるが後半で軽く取り上げてみよう。

<抑うつ>
1.SDS(うつ性自己評価尺度)【使用頻度14位(小川,2011)は,Zung(ツァン)が開発したうつ症状を測定する質問紙法。全20項目4件法で回答する。得点が高いほどうつ症状が強いことを表す。50点から59点が軽度,60点から69点が中等ー高度,70点以上が極度のうつ状態と評価される。

2.BDI-(ベック抑うつ質問票)は,Beck(ベック)が開発した抑うつの程度を測定するための質問紙法。全21項目で,その21項目それぞれにある4つの文章からあてはまるものを選ぶ方式。得点が高いほど抑うつが高いことを表す。29点以上で重症,28点から20点は中等症,19点から14点(*日本人の場合は,男性15点以上,女性16点以上で軽度のうつ状態)は軽症,13点から0点は極軽症となる。

3.HAM-D(ハミルトンうつ病評価尺度)は,Hamiltonハミルトン)が開発した抑うつの程度を測定するための質問紙法。うつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating ScaleHDRS)が正式名称。SDSやBDIと異なり,他者が評定する他者評定尺度である。

<不安>
1.STAI(状態-特性不安質問尺度)は,Spilberger(スピルバーガー)が開発した不安の程度を測定するための質問紙法。。置かれた状況による一時的な情緒状態である状態不安(20項目・高不安:男性24点以上,女性42点以上)と、もともともっている性格傾向である特性不安(20項目・高不安:男性44点以上,女性45点以上)を分けて測定。

2.MAS(顕在性不安尺度)は,Taylor(テイラー)が、MMPIから顕在的な不安に関する項目を選び出して作成。顕在的な不安とは、緊張や心配、赤面や発汗などの精神的・身体的な徴候として現れる不安のこと。不安尺度50項目虚偽尺度15項目の合計65項目

→ 臨床心理士資格試験にはよく出てくるが,使用例は研究も含めて聞いたことがない。なので公認心理師試験には出なさそうな尺度っぽい感じだが,一応,取り上げておいた。

3.BAI(ベック不安質問表!?)は,Beck(ベック)が開発した不安の程度を測定する質問紙法。全21項目で,その21項目それぞれにある4つの文章からあてはまるものを選ぶ方式。36点以上で重症,35点から22点は中等症となる。

4.HAM-A(ハミルトン不安評価尺度?!)は,Hamilton(ハミルトン)が開発した不安の程度を測定するための質問紙法。他者が評定する他者評定尺度である。

<Y-G>【使用頻度11位(小川,2011)】
Guilford(ギルフォード)が考案した性格検査をモデルにして矢田部が作成した。検査者が一定の間隔で問題を読み上げ,そのペースで回答する強制速度法で回答。回答方法は3件法(「はい」「?」「いいえ」)。12性格尺度(各10項目・計120項目)で構成される。12性格尺度は,2組のペアを構成し6つのグループ(因子)に分類される。プロフィール(左からE・C・A・B・Dの5系統値が並んでいる:私は「エカボード」で覚えたようだ)を見て,

左下と右上に集まればE型(試験では「左下がりのプロフィール」と出る)

左側に集まればC型

真ん中に集まればA型

右側に集まればB型

左上と右下に集まればD型(試験では右下がりのプロフィール」と出る)

5類型となる。

なお,

 壁坩堕蝓消極型)は,エキセントリックタイプで,情緒不安定,内向的,非活動的

◆憤堕蝓消極型)は,カームタイプで,情緒が安定し社会的にも適応的。一方で活動的ではなく内向的

(平均型)は,アベレージタイプで,これといった特徴はない

ぁ壁坩堕蝓消極型)は,ブラックリストタイプで,情緒不安定で社会不適応。一方で活動的で外交的

ァ憤堕蝓積極型)は,ディレクタータイプで,情緒が安定し適応的。活動的で問題が少なく好ましい性格。


*,鉢イ対称,△鉢い対称である(エカボードで覚えている。「エ」=左下がり,「カ」=左より,「ア」=真ん中,「ボ」=右より,「ド」=右下がり)。よく出るのはブラックリストタイプとエキセントリックタイプである。とここまで書いてきてアレなのだが,性格検査は,いまやビックファイブが席巻しており,Y-Gは古式ゆかしき検査になっている感が否めない。なので公認心理師試験では,Y-Gそのものが出ない可能性が高いと思われる(笑)。


<参考文献>
『臨床心理士試験徹底対策テキスト&予想問題集』(ナツメ社)