【オリジナル問題】

1.公認心理師法第2条第4項項に含まれる業務は,心理に関する問題を抱えていない人々を対象として,公認心理師の側から積極的に働きかけ,予防のために教育や啓発を行っていくことであると理解される(p. 222)。

2.Caplanによれば第一次予防とはスクリーニングなどを用いて,ハイリスクの人々を早期発見し早期介入することである(p. 222)。

3.IOMはメンタルヘルスの問題への対応として,予防・治療・回復の3レベルを設定している(pp. 222-3)。

4. IOMは予防をさらに普遍的予防,選択的予防,指示的予防の3カテゴリーに分類している(p. 223)。

5.選択的予防は精神障がいの予兆となるような軽微な兆候を示しているものの,現時点ではまだ診断基準を満たしていない人々を対象とする(pp. 222-3)。

6.教育的・臨床心理学的予防は自然なサポートシステムの強化,薬物への規制,経済的調整(問題源への税金の課金など)等によって社会的環境を変えることにより,問題の要因を減らしたり,人々の能力や生活の質向上のための機会を提供しようとするアプローチである。個人が何らかのプログラムに自ら参加して行動を変えることをねらいとするのではなく,意図的に参加しなくても自然に予防が行なわれるという考え方 (passive protection) が中心である(pp. 223-4)。


『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より問題用に改変







公認心理師の職責で第2条1項,2項,3項の関連事項は出てきたものの,なぜか第4項が出てきていなかったのだが,実はここに出てきていたのであった(笑)。ポイントは,キャプランの予防3つ,インスティテュート・オブ・メディスンのメンタルヘルス問題への対応3つ,その中の予防段階3つ,だろうと思われる。

1.正しい(◯)。

→ 心理に関する問題を抱えていない人々を対象というところがポイント。

2.誤り(☓)。これは二次予防の説明。

第一次予防
新規のケースが発生しないようにする活動であり,多数の健康な人々を対象として行われる。

第三次予防
すでに問題を抱えている人を対象として,再発・悪化・周囲への悪影響を防ぐために行われる活動であり,実質的には治療を指す。

3.誤り(☓)。予防,治療,維持

4.正しい(◯)。予防をさらに三段階に分けているところがポイント。

普遍的予防
一般大衆,あるいは,リスクが高まっていると判断されていない人々(集団)が対象

*これはまあ理解できるだろう。キャプランの第一次予防と同じ。

選択的予防
生物的,心理的,あるいは社会的なリスク要因に基づき,精神障がいを発症する可能性が平均よりも高い人々が対象

*これもまあ理解できるだろう。キャプランの第二次予防とほぼ同じ。ハイリスクな人たちが対象。

指示的予防
精神障がいの予兆となるような軽微な兆候を示しているものの,現時点ではまだ診断基準を満たしていない人々が対象

*ここは第三次予防の「すでに問題を抱えている人」ではなく「可能性段階を超え症状は出てきているものの診断基準は満たさない人」が対象。なので,治療とまでは言えない。いわば第2.5次予防みたいなもの。

5.誤り(☓)。これは指示的予防の説明である。

<参考>
近年,Institute of Medicine (IOM) は,予防を「普遍的 (全体的) 予防」,「選択的予防」,「指示的 (個人的) 予防」に分類している.普遍的 (全体的) 予防は,健康を害するリスクの低い人に対する予防,選択的予防はリスクの高い人に対する予防,指示的 (個人的) 予防は,すでに健康を害している (発症している) 人への予防をさす. 以上をみても,予防は集団に対するものから個人に対するものまで多様であり,健康状態やニーズに合わせた予防を実践することが求められる(p. 586).『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)

→ 指示的予防の記述が現任者講習会テキストと違うような?!

6.誤り(☓)。これは社会システム的・公衆衛生的予防の説明である。

教育的・臨床心理学的予防
主として小集団を対象として,心理教育的グループ等を用いてスキルや知識などを教育するアプローチである。心理教育的グループとは,将来生じ得る不適応によって引き起こされる生活上の悪影響を防ぎ,より良い問題解決ができるよう,小集団を対象としてスキルを教える教育的活動である。

→ 公認心理師にとって馴染み深いのは前者であろう。法第2条に定められている業務も前者の予防活動を想定していると考えられるが,後者の公衆衛生的アプローチは,予防の効果と費用対効果の上で前者よりも優れていることが指摘されている (Kaplan, 2000)。

*ブループリントに出てくるのはこのKaplanであるが,Caplanの誤植とする説もあり(例えば,『公認心理師国試必須センテンス』),さてさてというところである。


<追加>
予防の方程式
発生率 =[ストレス+脆弱性] ÷ [コーピングスキル+自尊心十知覚されたソーシャルサポート]

分子を持っていても,分母が大きくなると,発生率が低くなる式。

*これは覚えるの大変そうなので出なさそう。出るなら得点調整というか,不可能問題として出るのではないか(笑)。

*「予防を行っていくためには,基礎的研究によって,ターゲットとする問題に関する防御・リスクの各要因を明らかにすることが肝要である。」(p.226)と公認心理師現任者講習会テキストには書いてある。基礎系の執筆者が書いたのではないか(笑)。