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『公認心理師試験出題基準 平成30年版』(一般財団法人 日本心理研修センター)より

皆さんも苦労するであろうところをオマケで書いてみた。例によって私のまとめでは心許ないと思うのでブループリントの解説を有名どころと現任者講習会テキストのコラボで作成した(笑)。

(1)心身機能,身体構造及びさまざまな疾病と障害

 
人体の正常構造と機能
とは,人体を構成する各器官の解剖学的・組織学的構造およびそれらの生理機能 (役割) のことである.

加齢に伴う変化として,身体・生理面では骨・身体組成の変化 (骨粗霧症,圧迫骨折,後弩,筋肉量の減少,骨塩量の減少),心・血管系や呼吸器系の変化 (動脈硬化,心拍出量の減少,肺活量の減少),知覚器官系の変化〔視力低下,水晶体の黄色化,硝子体の混濁,聴覚低下 (高周波数の音から低下) 〕などがあり,心理精神機能では脳の萎縮認知機能の低下,短期記憶の低下,流動性知能の低下および結晶性知能の向上などが挙げられる.

<橋口コメント>
結晶性知能は向上している。

 めまいには, 頭がグルグル回っているように感じる「回転性めまい」と,グラグラするタイプの 「非回転性めまい」 あるいは 「動揺性めまい」 がある.

倦怠感とは,「しんどい,疲れる,力が入らない,集中力がない」 のように表される認知的・感情的・身体的な主観的感覚で,エネルギーが少なくなっている状態である.

呼吸困難とは, 「呼吸がしづらい」 「息が詰まる感じ」 「空気を吸い込めない感じ」 などの症状をいう.

Α循環器疾患とは,主に心臓や血管に関する疾患のことで,虚血性心疾患 (狭心症・心筋梗塞),高血圧不整脈,心不全などが代表的な疾患である.

А内分泌代謝疾患とは,内分泌 (ホルモン) の異常によって起こる疾患で,糖尿病甲状腺機能充進症・低下症などがある.

<橋口コメント>
甲状腺機能充進症・低下症からも,うつ病が発生する。身体疾患→うつ病という心理職の弱点を顕にするところと言えるだろう。出題するならここではないか。

呼吸器系疾患とは,気管支,肺,胸膜などの呼吸器の疾患で,気管支炎,肺炎,肺がん,慢性閉塞性肺疾患などがある.

<橋口コメント>
Α銑┐蓮ね儻譟楡睫席犬陵儻譴里箸海蹐鯑れ替える出題パターンなのではないかと。

なお,「主要な症候には全身性のものと局所性のものとがある。発熱,疲労,ショック,けいれんなど全身性のもの,瘻痛,失神,めまい,呼吸困難動悸,嚥下障害,悪心,下痢など局所性のものでそれぞれ全身的なあるいは局所臓器・組織の病態生理が想定される。」(公認心理師現任者講習会テキスト p.129)

 銑─惴認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 90 より

 神経疾患とは,中枢神経系 (脳・脊髄) および末梢神経に生じる疾患で,脳血管障害パーキンソン病,脊髄小脳変性症,ギラン・バレー症候群などがある.

 筋・骨格系疾患とは,骨,関節筋肉,靱帯など運動器官の疾患で,腰痛,骨折,関節リウマチ,骨肉腫などがある.

(2)心理的支援が必要な主な疾病

 がんは悪性腫瘍全体を示し, 上皮細胞から発生する肺がん,乳がん,冑がん,大腸がん, 造血器から発生する白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫, 骨や筋肉などの非上皮性細胞から発生する骨肉腫などがある.

 難病の多くは原因がわからず,また治療法も確立していないため,クライエント,家族の不安が大きい.このため心理的支援が重要とされる.

<橋口コメント>
「2014(平成26)年,難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)によって,医療費助成等が定められた。難病とは,発病の機構が明らかでなく,治療法が確立していない希少な疾病であって,長期の療養を必要とするものをいう。このうち,患者の置かれている状況からみて良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので,患者数が人口の0.1%未満であって,客観的な診断基準等が確立しているものを指定難病として医療費助成の対象としている(2017(平成29)年現在330疾病)。一方,障害者総合支援法においては,発病の機構が明らかでないこと,患者数が人口の0.1%未満であることを条件としていないので,2017(平成29)年現在で358疾病が対象疾病とされている。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 137)のだそうだ。障害者総合支援法では指定難病の条件がないところがミソですな。

 遺伝カウンセリングでは.遺伝性疾患の発症やそのリスクに関連した情報を提供し,患者や家族がそれらを理解したうえで意思決定ができるように支援する.また,各種医療情報やサポート源に関する情報の提供も行うため,十分な遺伝医学の基礎的・臨床的知識が必要となる.

 身体科医療提供施設での特殊な支援として,後天性免疫不全症候群 (AIDS) に関するものがあり,当事者の不安などに対するカウンセリングや日常における投薬コントロールなどの心理教育を,公認心理師が担うことも期待されている.

<橋口コメント>
「近年では治療薬の開発により早期の服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく通常の生活を送ることが可能である。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 133)のだそうだ。

〜『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 91

 脳血管疾患による後遺症 (脳卒中後遺症) として,運動障害,言語障害,高次脳機能障害などがあり,さらにリハビリテーションを円滑に進めるための心理的支援が必要とされる.

循環器疾患には,虚血性心疾患や高血圧心不全不整脈があり,生活習慣との関連も深いため,心理教育が必要なケースもある.

内分泌疾患によって,精神症状をきたす場合には心理的支援が必要となる.また糖尿病の人は糖尿病でない人と比べて,抑うつ症状を有する人が約2倍程度多いといわれている.うつ病になるとインスリンの作用が弱くなったり,糖尿病の治療に必要な行動に支障が出てくる場合があり,心理的支援が必要とされる.

薬物,アルコール,ギャンブルなどの依存症に関しては相談機関医療機関でのクライエントおよび家族に対する相談,心理教育プログラムの実践などを通して心理的支援が行われる.

<橋口コメント>
>アルコール依存症
*依存症 (薬物, アルコール, ギャンブルなど)使用障害ともよばれる.薬物,アルコール,ギャンブルなどの物質や行動によって得られた快楽が, 繰り返されるうちに, 脳がその刺激に慣れてしまい, より強い刺激を求めるようになる. その結果, 物質や行動が,コントロールできなくなってしまう状態である(p. 485)

*DSM-5では依存という言葉は使用されなくなり,「アルコール使用障害」と定義されるようになった.

軽い離脱症状:飲酒中断後数時間内に,睡眠障害,自律神経症状 (発汗,頻脈など),不安不穏,振戦が生じる.
振戦せん妄 : 飲酒中止後5日以内に,振戦とせん妄状態意識障害,失見当識,幻覚 (小動物視), Liepmann現象 (振戦とせん妄の初期などに閉眼状態で上眼瞼をすこし圧迫して暗示することで幻覚が生じること).
・アルコール離脱幻覚症幻聴が特徴.

>アルコール精神病
・アルコール性嫉妬妄想:主に男性にみられ,相手の不貞を確信する妄想
・アルコール性Korsakoff精神病:記銘力障害,見当識障害,作話
・アルコール性痴呆:大脳の萎縮を認める.

>アルコール依存症の治療
・自助グループ:断酒会,アルコホーリクス・アノニマス (AA: AIcoholics Anonymous)
抗酒薬 (シアナミド,ジスルフィラム)

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)pp. 488-9

ここまで手が回るかどうか・・・。

移植医療におけるレシピエント (臓器被提供者) とドナー (臓器提供者) 両方に対する心理的支援が必要になる.レシピエント (臓器被提供者) は移植後ステロイドを長期に服用しなければならず,経過に対する不安もある.またドナーに対して罪責感を抱く場合もあり,それに対する適切な心理的支援が必要である.ドナーが親族である場合は,誰がドナーになるかを決定する際にさまざまな葛藤が生じ,親族内に潜んでいた問題が顕在化することもある.自ら健康で自身の体には利益のない手術を行うことになるため,このような問題に対する心理的支援は不可欠となる.

<橋口コメント>
「2010(平成22)年には改正臓器移植法が施行され,脳死臓器提供が本人の生前の意思表示と家族の承諾でなく,本人が生前に拒否の意思を示していなければ家族の同意で可能となった。これにより15歳未満の子どもからも脳死臓器提供が可能となった。臓器提供の意思は専用の意思表示カード被保険者証運転免許証の裏で示すことができる。生体臓器移植を除き,移植希望者(レシピエント)は日本臓器移植ネットワークに登録する。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)のだそうだ。なお,「提供者(ドナー)の状態によって,脳死臓器移植,心停止後臓器移植,生体臓器移植がある。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)らしい。3つは覚えておく方が良いような。脳死臓器移植の場合は,本人が拒否の意思を示していなくても家族の同意で可能であるが,そもそも日本臓器移植ネットワークに登録していないと家族が同意してもダメということだろう。

〜魁惴認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 92

再生医療は,機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して,細胞を積極的に利用して,その機能の再生を図る医療である.新しい領域であるため,費用面,安全面,そして倫理面の問題がある.公認心理師は最先端の医療に関する理解を深めると同時に,これらの問題をクライエントと共有しつつ心理的支援を行うことが求められる.

<橋口コメント>
「再生医療とは,身体の構造・機能の再建・修復・形成または疾病の治療・予防を目的として細胞加工物を用いる医療であって,そのうち,輸血,造血幹細胞移植,生殖補助医療を除いた再生医療等技術は2014 (平成26)年施行の再生医療等安全性確保法によって規制されている。同法では体細胞加工等低リスクのものから,体性幹細胞など現在実施中の中リスクのもの, ES細胞やiPS細胞等ヒトに未実施など高リスクのものなどリスクに応じて提供開始までの手続 (製造管理・品質管理・提供等の基準も含む)が定められている。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 139)らしい。iPS細胞は高リスク品だったのね。

㉑ がん患者やその家族に対して心理学的にアプローチする専門領域がサイコオンコロジー (精神腫瘍学) である.がんの診断 (告知) ,初期治療,再発,積極的治療の中止,終末期の経過に伴う不安やそのほかの心理的問題に対応する.

<橋口コメント>
サイコオンコロジーという響きから,対象が広いかと思いきや,がん患者(とその家族)だけが対象のようだ。

㉒ 緩和ケアとは,がんなどの生命を脅かす疾患と診断された時から,患者とその家族が,可能な限り質の高い治療・療養生活が送れるように,身体的症状の緩和や精神心理的な問題,人生や生きる意味の問題 (スピリチュアル・ペイン) などへの援助を行うことである.

<橋口コメント>
「WHO (2002) は緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して,疾患の早期より痛み,身体的問題,心理社会的問題,スピリチュアルな問題に関して,きちんとした評価をおこない,それが障害とならないように予防,対処することで人生の質 (QOL) を改善するためのアプローチであると定義している。すなわち,緩和ケアとは病気にともなう心と体の痛みを和らげることである。また,緩和ケアは本人や家族が「自分らしく」過ごせるように支えることを目標にしている。緩和ケアは入院中は緩和ケア病棟または緩和ケアチームによって受けることができるが,外来においては緩和ケア外来で訪問診療や訪問看護と連携した在宅緩和ケアを含めて自宅で,あるいは慣れ親しんだ地域の介護施設で受けることができる。」(公認心理師現任者講習会テキスト p. 136)入院しなくても外来で緩和ケアは受けられるというところがポイントかも。

㉓ 終末期ケア (グリーフケア) とは,人生の最終段階における医療・ケアのことを指す.医師をはじめとした医療従事者から適切な情報提供と説明がなされ,それに基づいて医療・ケアを受ける本人が,多職種から構成される医療・ケアチーム,また本人の信頼する家族らとともに,繰り返し話し合う中での意思決定を基本としたうえで進めることが最も重要な原則となる.

<橋口コメント>
人生の最終段階から家族は死別を感じ続けており(予期悲嘆),死後様々な心理反応を呈する。死別にともなうこれらの心理反応を悲嘆と総称する。悲嘆の心理反応の多様性や順番,強度や持続に関し,リンデマン(1944),フインク(1967),サンダース(1989)など多様な悲嘆プロセスモデルが提出されているが個人差がある思慕の情を除きほとんどの心理反応は6カ月以内に安定するが,一部の悲嘆は強度が持続,6カ月以上遷延するなど複雑化し日常生活に支障をきたす。このような悲嘆は,複雑性悲嘆と呼ばれる。正常の悲嘆,複雑性悲嘆に対する心理ケアを悲嘆のケア(グリーフケア)という。(公認心理師現任者講習会テキスト  p.138)死別の前から悲嘆はあり,死別後,半年で安定するが,半年では安定しないものもある,ということだろう。ポイントは,複雑性悲嘆だけでなく,正常の悲嘆もグリーフケアは対象にしているところだろう。

粥㉓『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)p. 93