今回は,『公認心理師現任者講習会テキスト』には載っていないものの,なぜかブループリントには載っている用語をまとめてみた。私のまとめでは信用ならないと思うので,有名どころのものをそのまま「引用」しておいた(笑)。この色のところが,ブループリントの小項目用語である(抜けがあった場合は随時追加していく)。なお「関係行政論(40)」(←リンク)「基礎心理学(3)」(←リンク)「精神医学を含む医学(3)」(←リンク)「精神医学を含む医学(オマケ)」(←リンク)で取り上げたものは除いた。

注)意外なことにこの記事にけっこうアクセスがあるようです。以下85の用語を挙げていますが,タイトルにある通りとはなっておらず,テキストに用語だけはあるものもありますし,上述しているように別の記事で取り上げたものはここには書いておりません(関係行政論以外は,この記事でだいたいは載せているとは思ってはいますが,あえて再掲するとすれば,「基礎心理学(3)」に出てくる,LAD:言語獲得装置,LASS:言語獲得支援システム,くらいでしょうか)。

*「何か違うんじゃないか」という記述がありましたら,コメントなりメールなりで教えていただけると勉強になります。


【追記と修正(2018.9.10)】

【9月10日】
86)引きこもりを追加

87)裁判員制度を追加

88)自殺対策を追加

1)生得的触発機構

なわばり,巣作り,抱卵などの定型的な行動は,単純な反射とは区別して, 本能的行動とよばれる. 内外の状況に刺激されて一連の行動を展開させる生得的触発機構という生物学的メカニズムで生起を説明することが多い(p. 163).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

2)グルタミン酸

グルタミン酸のような興奮性の神経伝達物質であれば,興奮性シナプス後電位が発生するし,γ‐アミノ酪酸 (GABA: gamma-amino butyric acid) のような抑制性の神経伝達物質であれば,抑制性シナプス後電位が発生する(p. 209).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

3)オピオイド

オピオイド(opioid)とは、麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などのアルカロイドおよびモルヒネ様活性を有する内因性または合成ペプチド類の総称である。

ここより

4)異文化適応

異文化適応とは,異なる文化圏で生活する際に,その文化や習慣を理解し,社会や人々との間で調和のとれた関係が保たれている状態のことである(p. 47)。

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

5)メンタライゼーション(テキスト157頁)

メンタライゼーションとは,イギリスの精神分析家フォナギー Fonagy, P. によって提唱された概念であり,自他の行為が個人的な欲求,感情,信念などの心的状態に基づいてなされるものとして,黙示的また明示的に解釈する心的なプロセスのことをさす。この概念は自己や他者を意図や感情をもった個別の存在として認識し,その心的状態を想像できる能力としてとらえることもでき,養育者との安定した愛着形成とのかかわりが指摘されている.メンタライゼーションは内省機能 (renective functioning) 尺度を用いて個人差を測定することができる.また,境界性パーソナリテイ障害の治療法として,メンタライゼーションに基づく治療 (mentalization-based therapy) の有効性が確認されている(pp. 66-7)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

6)エピジェネティクス(テキスト124頁:エピジェネティック変化)

胎児期から出生後早期の環境,特に低栄養環境が,青年期以降における生活習慣病リスク要因であることがわかっている [ DOHaD (developmental origins of health and disease) 仮説とよぶ]. たとえば肥満やメタボリックシンドロームなどは,遺伝と環境の相互作用によって発症すると考えられているが,胎児期から出生後早期の栄養状態は,これらの疾患に関係する遺伝子群の発現制御に影響を与えると考えられている (エピジェネティクス*).

DNAの配列変化によらない遺伝子発現を制御・伝達するシステムおよびその学術分野のことをいう.

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

7)日常生活動作

日常生活動作 (ADL: activities of daily living) は,食事,排泄,更衣,整容,入浴, 移動などの生活するうえで基本的な動作をさす.ADLが低下する背景には,身体機能と認知機能の低下や,精神面・社会環境の影響がある(p. 56).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

8)司法面接(テキスト195頁)

子どもがかかわる事件,事故,虐待事案などにおいて,子ども自身に与える負担を最小限にし,誘導することなく,正確な情報を引き出す面接法として司法面接がある.司法面接は,事実確認が目的であり,心理的ケアが目的の面接とは分けて行われる供述の変遷と2次被害を防ぐため,早い時期に,自由報告を重視した面接を原則として1回行い,ビデオ録画する.定められた特定のプロトコルを用いて,対象となる子どもとのラポール (信頼関係) を築き,「最初から最後まで全部話してください」「○○と△△のあいだにあったことを話してください」「○○についてもっと詳しく話してください」「それからどうしましたか」などのオープン質問を用いて自由報告を十分に促した後,誰・何.どこといったWH質問やクローズド質問を行っていく.また,当該の子どもに対して同じような面接を繰り返し行うことがないよう,複数の関連機関が協同して面接を行う取り組みも行われている(p. 451).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

9)訪問支援

アウトリーチ(*ブループリントでは「訪問支援」)とは,面接室でカウンセリングをするだけでなく地域に出かけて行う,いわば出前のカウンセリングである.前述のように,各種専門機関を訪れるハードルの高さによって,心理的問題は対応が遅れがちである.それを防ぐ方法の1つは,専門家が面接室でクライエントを「待つ」のではなく,クライエントが生活しているコミュニティに「出向く」ことである(p. 339).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

10)負の相補性

クライエントの問題が解決する前に,クライエントが一方的に来談を中止することを「中断」(drop out) とよぶ.岩壁によれば,欧米におけるいくつかのメタ分析による中断率の平均は42〜50%程度であり,クライエントの約半数が中断していた.また,この中断と相関をもった変数は,クライエントの人種,社会経済的地位,教育水準などであった.さらに岩壁によれば,このような心理療法の中断や失敗は「負の相互作用」,あるいは「負の相補性」(negative complementarity) とよばれる,セラピストとクライエントが互いに怒りと敵意を増幅させてしまうことによるものが多いとされている.すなわち,クライエントはこれまでに培ってきた対人関係パターンの反復として,セラピストに陰性の反応を起こすことが多く,さらにその対人的な状況を自分で対処することが難しい(p. 359).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

11)遺伝疾患・遺伝カウンセリング

遺伝性疾患の発症や発症のリスクに関連した問題を扱う遺伝カウンセリング,HIV (human immunodeficiency virus, ヒト免疫不全ウイルス) 感染症の患者への心理的援助を行うHIVカウンセリング,妊娠・出産.育児の過程をめぐる母子へ心理的援助を行う周産期カウンセリングなども臨床場面での重要な支援である.そのほかにも,難病を抱えるクライエントや再生医療を受けるクライエント,依存症 (薬物,アルコール,ギャンブルなど) を抱えるクライエントに対して,その家族も含めて支援を行うことも重要である(pp. 484-5).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

遺伝カウンセリングでは,遺伝性疾患の発症やそのリスクに関連した情報を提供し,患者や家族がそれらを理解したうえで意思決定ができるように支援する.また,各種医療情報やサポート源に関する情報の提供も行うため,十分な遺伝医学の基礎的・臨床的知識が必要となる(p. 72).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

12)心理的応急処置<PFA:サイコロジカル・ファーストエイド>


 災害後の混乱のなかでの支援活動は,多職種により多次元的に行われるものであり,心理的支援についても同様である.したがって,心理専門職以外のスタッフも心理的な支援についての知識をもち,必要な対応を行うことが期待される.

近年,このような問題に対して手引きやガイドラインが作成されている.いわゆる惨事ストレスなどに遭遇した際のガイドラインとしては,国連の機関間常設委員会(IASC: inter-agency standing committee) が作成した「災害・紛争等緊急時における精神保健・心理社会的支援に関するIASCガイドライン」がある.また,心理的な問題を主とした心理的応急処置 (PFA: psychological first aid, サイコロジカル・ファーストエイド) も開発されるようになり,代表的なものとして世界保健機関 (WHO) が作成したPFAIとNational Center for PTSDとNational Child Traumatic Stress Networkが作成したPFAがある(p. 396)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

災害時などに突発的に生じる心理的な問題に対する応急処置を,サイコロジカル・ファーストエイド(PFA: psychological frst aid)という.世界保健機関 (WHO) やNational Child Traumatic Stress Network が作成した心理的援助のマニュアルがある(p. 75).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

参考>“心の傷”にも応急処置を 「害を与えない」こころのケア,サイコロジカル・ファーストエイドとは

13)災害派遣精神医療チーム<DPAT:ディーパット>

阪神淡路大震災の経験を踏まえて,災害派遣医療チーム (DMAT: disaster medical assistance team,ディーマット) が組織され,各地域において大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場で,急性期 (おおむね48時間以内) の身体的な問題に対して活動している.

さらに,東日本大震災における精神科医療チームの活動などから,災害派遣精神医療チーム (DPAT: disaster psychiatric assistance team, ディーパット) が定義づけられた. DPATは, 精神科医師,看護師,業務調整員 (ロジスティクス:医療活動を行うための後方支援全般を行う者) で構成されるが, 現地のニーズに合わせて,児童精神科医, 薬剤師, 保健師,精神保健福祉士や臨床心理技術者などを含めるとされている(p. 394).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

参考>災害派遣医療チーム「DMAT」「DPAT」とは?誕生の経緯と活動内容

14)こころのケアチーム

災害・紛争などが発生した際に,精神科の応急処置や被災者のケアを行うために,精神科医を中心とした多職種で構成される精神医療チームを心のケアチームとよぶ(p. 75).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

・災害・紛争などの発生時,心理師をはじめ,支援を担当する者自身も深刻なストレス状況下におかれ,二次受傷の状態に陥る可能性もある.災害時こころの情報支援センターのWebページではこころのケアチームとして働く支援者向けに災害救援者メンタルヘルス・マニュアル』が示されている.ここでは,災害支援者に生じうる心身の反応やその対処についてまとめられており,心理師が災害支援に携わる際にも有益な情報となり得る(p. 401).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

15)生活の中の治療

近年では,児童養護施設や乳児院といった施設での養育において生活の中の治療として,日常生活を過ごす中で子どもたちに対して心理面の治療を行う例が増えてきている(p. 82).



『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より



16)被害者の視点を取り入れた教育

自らの犯罪と向き合うことで,犯した罪の大きさや被害者やその遺族等の心情等を認識させ,被害者やその遣族等に誠意をもって対応していくとともに,再び罪を犯さない決意を固めさせることを目的とした教育(p. 447)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

17)動機づけ面接法(テキスト156頁)

矯正施設などで行われるさまざまな支援やプログラム等は,ある意味「義務として受けさせられる」ために,一般に支援対象者の「動機づけ」の程度はそれほど高くないことが多い.そこで,多くの施設で「動機づけ面接法」の考え方や手続きがとり入れられている.その主たる方略は,対象者のチェンジトーク (変化の希望,変化できるとの考え・変化への楽観視,変化することへの利点,変化しないことへの不安・懸念,変化に必要な行動の具体的計画など) を引き出すことであり,その際に支援者は,開かれた質問 (openended question), 是認・確認 (affirm), 聞き返し (renective listening), 要約 (summarize) などの技法を用いることが推奨される (OARSと略される).

*クリックで参照可→『動機づけ面接の思想・技法と勇気づけとの関連性』@東京アドラー心理学研究会に行ってきた

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

18)キャリアコンサルティング

クライエントの能力,適性を把握し,適材適所の配属に関する助言をすることは不適応を避けることにつながる.また,終身雇用制度の時代が終わり,今後の職業生活あるいは自らの生き方について積極的に考えていくこともより重要となっている(p. 456-7).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

19)ダイバーシティ(テキスト35頁:文化的ダイバーシティ)

心理師が理解しておくべき概念にダイバーシテイ (人材の多様性) がある.ダイバーシティに含まれる属性として,性別,年齢,人種・民族,性的指向,職歴,未既婚,趣味,パーソナリティ,宗教,外見身体的能力などが該当する.さまざまな人の個性や能力を活かせる組織にすることが,企業の成長力につながると考えられる(p. 458).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

20)安全文化

安全を最優先し,実現する組織のあり方をいう.事故の原因の多くは人間のミス (ヒューマンエラー) であることから,安全に関する教育を行い,安全で効率的な手順を決めることが重要である.組織で取り組む事故防止策として, KY (危険余地) 活動,リスク・アセスメント,ヒヤリ・ハットなどが行われている(p. 466).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

21)里親縁組

里親制度は,児童相談所長が子どもの養育を里親に委託する制度である(児童福祉法第27条の1)。養子縁組を前提とする「養子縁組里親」,子どもと三親等内の親族が里親になる「親族里親」, 養子縁組を前提とせず子どもの養育を目的とする「養育里親」の3種類に分けられる。養育里親にはさらに被虐待等によって心身に有害な影響を受けることで専門的なケアに対応する「専門里親」が設けられている(p. 111)。

『関係行政論』(遠見書房)より

22)成長障害<FTT>(器質性,非器質性)(テキスト198頁)

非器質性発育障害 (非器質性発育不全) (NoFTT: nonorganic failure to thrive) は, 器質的な問題がなく,養育環境・ネグレクトなどが発達に影響を及ぼしている状態である.器質的な問題があって発達が抑制される状態は,器質性発育障害 (器質性発育不全) (FTT: organic failure to thrive)とよばれる(p. 55).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

23)行為(素行)障害・反抗挑戦性障害・反社会性パーソナリティ障害

行為 (素行) 障害とは,「反社会的,攻撃的あるいは反抗的な行動パターン」が反復持続する障害をいう.また,反社会性パーソナリティ障害(*)へと発展することがある.反抗挑戦性障害は,法や他人の権利を侵害することはない点が行為障害と異なる.授業妨害,教師への反抗的で挑戦的な行動が持続する(p. 495)。

(*)18歳以上で診断される(15歳以前に素行症の症状がいくつかあることが必要)

*DSM-5では,反抗挑戦症,素行症ともに「秩序破壊的・衝動制御・素行症群」に入っている。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

24)発達性協調運動症

・発達性協調運動症は,いくつかの運動を協応させることが困難な状態を呈すものであり,子どもの過渡の不器用さは,こうした問題が潜在していると考えることもできる(p. 275).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

・ボールを投げる,歩くといった粗大運動のみならず,ボタンをはめるといった手先を使うことや口の動きなどの微細運動も含まれる(p. 23)。

『公認心理師のための発達障害入門』(金剛出版)より

25)アタッチメント障害

これまで紹介した発達に関する問題のほか,多様な発達の問題が存在する.たとえば,愛着に関する問題では,反応性アタッチメント障害ならびに脱抑制型対人交流障害は,子どもを理解するうえで重要な概念である.反応性アタッチメント障害は,養育者に対して進んで愛着 (アタッチメント)を求めることがないことを特徴とした障害で,ネグレクトとの関連性が示されている.また,脱抑制型対人交流障害初対面の大人などに対して文化的に不適切に過度に接近し交流をもとうとする特徴があるものである(p. 275).

*DSM-5では反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害は「心的外傷およびストレス因関連障害群」に入っている。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

26)賦活症候群

賦活症候群は,抗うつ薬の副作用の一つで, SNRI (選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)およびNaSSA (ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬) などで現れる, 神経過敏, 不安,焦燥などの症状をいう(p. 99).

希死念慮などを誘発する可能性がある。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

27)面会交流(テキスト103頁等)

面会交流とは,離婚後または別居中に,子どもを監護・養育していない方の親が,定期的に子どもと面会などを行うことである(p. 86)。

28)実験神経症

実験的に誘発される神経症様の異常行動。パヴロフは,イヌに対し,スクリーンに呈示される真円には餌が伴うが楕円には伴わないという分化条件づけを行った。差異の明らかな真円と楕円の弁別から開始
し,楕円の長径と短径の長さを徐々に近づけて真円との弁別を困難にしながら訓練を継続した。その結果,困難な弁別を課され続けたイヌは,強い情動反応と混乱を示すようになり,いったんはこなしていた容易な弁別までもができなくなった。パヴロフは,脳内で興奮と制止のバランスが崩れ,接近-回避葛藤の状態に陥ったために表れた症状であると考えた(p. 85)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

29)洞察学習

回数を重ねずに成立する学習は,認知の働きに支えられていることもある.ヒトや類人猿では,試行錯誤を経て行動が徐々に変化するのではなく,あるときに頭のなかで新しい行動を思いつき (洞察),以降はすぐに同じ行動ができるようになる洞察学習がみられる(p. 163)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

30)潜在学習

げっ歯類の実験で,ゴールにエサを置いて強化すると,迷路を抜ける時間が短くなっていくが,エサを置かない試行をしばらく繰り返してからエサを置くようにすると,抜ける時間は最初からエサがあった条件にすばやく追いつく.強化されていないあいだにも頭のなかに迷路の認知地図が「学習」されていたと考えられ,これを潜在学習とよぶ(p. 164).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

㉛ 社会的学習

バンデューラはこういった研究や認知心理学の考え方から,社会的学習理論を提唱した.その理論のなかで学習とは,注意保持運動再生動機づけの4つの過程からなるとした.また,自分がこれからしたい行動を適切に行って成果を手にできるという認識や信念である自己効力感の役割を重視している.社会的学習理論もまた,心理臨床への応用が可能である.認知行動療法の一種としても位置づけられるソーシャルスキルズトレーニング (SST: social skills training) は,特定の社会的スキルを含む行動をモデルが演じるのをみて,まねてみるリハーサルを行い,適切ならほめるなどのフィードバックで強化していくもので,精神障害者の社会復帰支援などに用いられている(p. 166).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

㉛ 社会的認知

人が他者や自分自身,また,社会のさまざまな環境を理解し,評価する過程のことを社会的認知とよぶ.印象形成や対人認知,原因帰属などが含まれる(p. 44)。

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㉜ 社会的感情

社会的感情とは,他者との関係において生じる感情のことであり,自己意識的感情ともよばれる.,罪悪感,妬み,誇りなどがあり,これらは,自分の思考,意図,行動についての自己に対するフィードバックとなり,自己制御的な機能をもつ(p. 45).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㉝ 社会的動機

飢えや渇きといった生理的動因に基づく動機とは異なり,他者との関わりにおいて形成される動機を社会的動機とよぶ.主要なものとして,達成動機親和動機がある(p. 45).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㉞ 対人認知

対人認知とは,他者に関するさまざまな情報をもとに,相手の性格や意図などを判断したり,行動を予測する働きのことである(p. 45).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㉟ 社会的推論

自己や他者を含むさまざまな社会的事象に関して行う推論を社会的推論という.社会的推論の研究では,推論のエラー, バイアス, ヒユーリステイックス (経験則)などを扱う(p. 45).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊱ 自己過程

自己に対する理解や評価そして自己の他者への呈示といった自己に関連する様々な現象や一連の心理過程を自己過程とよぶ.自己過程は,自己への注目把握評価表出の4つに区分される(p. 44).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

<以下,参考までに>
自己には多様な側面や働きがあるが,ここではそれらを構造的側面,評価的側面,及び実行・制御的側面に分けて整理する。我々は自己に関する膨大な知識(記憶,信念,感情等)を有しているが,あらゆる側面に関して均質に知識があるわけではなく,自分にとって重要な事柄については多くの知識が統合されており,自己スキーマが形成されている。また,自分に関する膨大な知識は常に全てが一様に参照可能なのではなく,そのときどきに活性化して参照されやすい知識群である作動的自己概念は変動する。作動的自己概念にはその内容に沿った行動を導くため,その内容に応じて,ある範囲で人の行動は変動することになる。作動的自己概念は,その時に自分が置かれた社会的文脈や従事していることなどに応じて変動するが,他者にどう自分を見せたか,すなわちどう自己呈示したかによっても変動する。我々の自己概念は,他者に呈示した内容の方向に(短期的に)変灘容する。例えば,他者の前で社交的に振る社舞うと自己概念は社交的な方向へ変容し,その後の行動もこの自己概念に沿って社交的になる。この現象を自己呈示の内在化と呼ぶ。自己は内省可能な対象であり,評価の対象である。内省するためには自分自身に注意を向ける必要があるが,注意が向けられた状態自己覚知と呼び,その傾向の個人差自己意識と呼ぶ。人には自分自身に対する評価を(高く)維持する心理メカニズムが備わっており,自己評価が様々な方略によって維持される。これらは,自己に対する評価の重要な特徴であり,多様な方略に関する研究がある。これに対して,多様な方略により自尊心が維持されるメカニズムが人に備わっているのはなぜか,という問題に正面から取り組んでいるのが,存在脅威管理理論と所属欲求理論である。多くの自己評価維持は情報の歪曲や,バイアスのかかった解釈を通じて行われる。例えばテストで悪い成績をとった時に,問題が悪かった,たまたま勉強しなかったところが出題されたなどと外的な要因に原因を帰属することで,自分の学力に対する評価は維持されることになる。更には,自ら妨害要因を作り出すセルフ・ハンディキャッピングがなされることもある。自己に対する評価のうち最もよく取り上げられるものが自尊心である。自尊感情とも呼ばれ,自分に対する全体的な評価を意味し,全体的な自己評価が高い,低いという傾向を,自尊心が高い,低いと言い表す。自己価値随伴性モデルによれば,自尊心は全体的な自己に対する評価ではあるが,自分が価値を随伴させている領域における評価に伴って上下する。つまり,自分にとって重要で意味のある領域における自己評価が,全体の評価を変動させるのである。自己評価は自身の達成や失敗だけでなく,他者との比較である社会的比較によってももたらされる。例えば,優れた他者との比較(上方比較)は自分の評価を下げやすく,劣った他者との比較(下方比較)は自己評価を上げやすい。この社会的比較の過程を中心に据えて自己評価維持のメカニズムをモデル化したものが,テッサーらによる自己評価維持モデル(SEM)である。一方,過去や将来の自分との比較を継時的比較と呼ぶが,この比較に基づく自己評価維持のメカニズムがロスとウィルソンの継時的自己評価理論によって示されている。自己評価を維持するための防衛的反応には,自己評価を下げる情報を避ける,情報の価値を低く評価するなど,脅威となる情報のもつインパクトを低減する方略が考えられる。しかしスティールの自己確認理論によれば,自分の価値を確認する機会があれば,人は防衛的反応を抑えて脅威となる情報を受け入れることができる。例えば,喫煙者にとっては喫煙の害を示す科学的証拠は脅威となるが,自分が重要だと思うことを再確認し,自己価値を確認した場合は,喫煙者であっても,喫煙の害に関する情報を客観的に見ることができるようになる。つまり,脅威となる事柄とは別の側面において,脅威に対抗する資源を確保するという方略も選択可能なのである。ただし,自己評価を下げるような情報が逆に求められる場合もある。自分に関してどのような情報を求めるかという動機には,正確な評価の情報を求める自己査定動機好ましい評価の情報を求める自己高動機に加え,自分の評価に一致した評価情報を求める自己確証動機,自分を改善る情報を求める自己改善動機がある。自評価が否定的で自尊心が低い人は,自己証動機が働く場合は自己評価を下げる情を求めることになり,否定的自己評価が持されやすい。自己の実行機能である目標の追求におては,成功を目指すのか失敗を避けるのという二つの方略がある。この方略を整したヒギンズらの制御焦点理論では,成功に焦点を当てることを促進焦点,失敗の回に焦点を当てることを防衛焦点と呼び,者ではリスキーな選択が好まれるが,後では逆であることなどが明らかにされてる。また,効率よく目標を追求するためは,当面の目標に無関係あるいは拮抗す目標の追求は抑制されなくてはならない,このような自己制御には制御資源が必要となる。バウマイスターらは,制御資源有限であり,様々な形の自己制御に共通て使用され,一度に消費すると枯渇すると,そして制御資源が不足した自己枯渇状態では通常は制御されている様々な行が制御できなくなることを示した(pp. 255-7)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

㊲ 文化的自己観

文化的自己観とは,人々の間で共有されている文化的習慣や価値観によって作られた「人間とはこういうものだ」という考えである.人は何事からも独立した存在であると考える「相互独立的自己観」と,人は他者との関係性から存在していると考える「相互協調的自己観」がある(p. 47).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊳ 素朴理論

素朴理論は,素人や一般の人日常経験の中で構成する知識体系 (概念) のことである.子どもも同様に,それまでの経験によって形成したものごとや事象についての理論をもっているとされる(p. 47).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊴ 親としての発達

成人期には職業生活をスタートさせ,多くの人は恋愛・結婚をして,家族を形成し子どもを育てる.親から自立して新しい家庭を築くことで,今度は自分自身が親としての発達をとおして子どもの発達を援助することになる.また,社会においては,自分が就いた職業においてキャリアを積みつつ,次の世代を育てていくことが求められる(p. 257).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

㊵ 中年期危機

中年期は,特有の心理的危機に直面する時期でもある.こうした危機とあわせて体力の衰え・仕事の限界感・家族の変化などに伴う,中年が陥りやすい葛藤状態などは,中年期危機とよばれる(p. 53).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊶ 構成主義(*おそらく構成心理学のこと)

ティチナーの構成心理学では、心理学の主題は意識的経験にあるとして、意識を最も単純な要素へ分解し、そのような要素が連合する法則を見いだしたり、その要素と生理学的条件とを結びつけたりすることが心理学の本質的問題であると考えた。ティチナーは意識的経験を基本的要素へと還元することに興味があったので、ヴントのように統覚へと総合していく体系に対しても反対していた。それでは感覚や感情やイメージ以外のことは研究できないではないかという批判に対しては、それは構成心理学のテーマではないので感知しないとしていた(p. 25)。

『心理学検定基本キーワード集 改訂版』(実務教育出版)より

㊷ ゲシュタルト心理学

ゲシュタルト心理学には大きくグラーツ学派とベルリン学派という2つの学派があり、どちらの学派も知覚過程におけるある種のまとまりを中心に研究を進めていた。ブレンターノの影響から、刺激がどのように知覚されるかよりも、刺激をどのように知覚しようとするのか、という心の働きのほうに関心があったのがゲシュタルト心理学者だといえる。

古いほうのグラーツ学派はオーストリアのグラーツ大学を中心に組織されていたが、その中に「ゲシュタルト質について」(1890)という論文で初めてゲシュタルトという用語を使ったエーレンフェルス(Ehrenfels,C.)がいた。エーレンフェルスは音楽の問題を取り上げ、メロディーを構成する個々の音という要素と、メロディーとしての音とに異なる価値を見いだした。あるメロディーを移調すると、個々の音は変わってしまうが、メロディー自体は同じように知覚できる。その原理として、個々の音の総和にゲシュタルト質が加わるからだと考えたのである。この問題に対して、より実験的なアプローチを試みたのはドイツのベルリン学派のゲシュタルト心理学者である.

ヴェルトハイマ一 (Wertheimer, M. )は1912年に発表した論文の中で、単純な図形の長方形をスクリーン上に最初はそのまま水平方向に、次はさまざまな時間間隔を空けて45度ずれた方向に呈示すると、ある最適な時間間隔(100分の数十秒)のときにだけ、四角形が起き上がるように見えることを見いだした。この最適時間間隔のときには物理的に存在しないはずの途中の部分を補った完全に滑らかな運動が知覚されるが、呈示時間が短すぎると2つの図形は同時に存在するように知覚され、長すぎると交替して登場するように見えるだけでいずれも運動は認められなかった。ヴェルトハイマーはある最適時間間隔で呈示するときにのみ生じるこの現象仮現運動と名づけた。仮現運動は実在する運動ではなく現象にしかすぎないので、現象 (phenomenon) という単語の最初のギリシア文字ファイ(の)を取って、ファイ現象とも呼ばれる。

ものがどのようにまとまって見えるのかについて、ベルリン学派はプレグナンツの原理という法則のようなものを提唱した。この原理の発見のきっかけとなったのは、ヴェルトハイマーのイニシャル(MとW)を重ねた刺繍を見たときに、文字が認識されなかった体験である。なぜ文字ではなく閉じた中央のひし形の図形のほうが強く印象に残るのかについて、ヴェルトハイマーらは似たような現象を分析していき、連続の要因近接の要因閉合の要因類同の要因など、私たちがものをまとめて知覚する際の隠れた要因(ゲシュタルト要因)を見いだした。

ゲシュタルト心理学の中心的な考え方の中に、恒常仮定への異議というものがある。感覚生理学や精神物理学を研究していた19世紀の学者の多くは、特定の長さの波長が特定の色知覚を生じるといったように、個々の物理的事象と心理的体験(感覚・知覚)との間に1対1の対応関係を仮定していた。これが恒常仮定であるが、ゲシュタルト心理学者はこれを否定していた。白い紙を暗い部屋で見ると、客観的にはかなり灰色のはずが白いままで見えるといった知覚の恒常性については、このような明るさの恒常性をはじめとして、大きさの恒常性形の恒常性などが知られている。ゲシュタルト心理学では、こうした知覚の恒常性の現象は安定した知覚世界を成立させるために必要なものであると考え、知覚は物理的刺激によって生じるというよりも、体制化された脳の活動が知覚を生じさせるのだと論じた。まったく同じ最小単位の要素から構成される物理刺激(例:●●●●)を呈示しても、その刺激の配置の差がまとまりの差となって知覚される(●● ●●は先の例とはまとまりが異なって知覚される)ことは、知覚の要素主義的解釈に反するものである。

こうしたゲシュタルト心理学の考え方は、知覚以外に学習心理学や社会心理学の領域にも影響を与えた。たとえば、ベルリン学派のケーラー (Kohler,W.) はチンパンジーの洞察学を報告して、試行錯誤学習のような連合主義的な学習理論に対して異を唱えた。またレヴィン (Lewin, K.)は物理における場理論を人間の行動に応用して、人々の環境における配置などが個人の行動に与える影響を論じ、集団力学(グループ・ダイナミックス)という領域を発展させた(pp. 30-1)。

『心理学検定基本キーワード集 改訂版』(実務教育出版)より

㊸ 体性感覚(=自己受容感覚)

体性感覚は、ここで述べている皮膚感覚のほか、深部感覚内臓感覚を含む。深部感覚とは、骨格筋や関節からの入力で、姿勢や運動の知覚、そして反射弓を形成する(p. 207)。

『心理学検定基本キーワード集 改訂版』(実務教育出版)より

視覚,聴覚,味覚,嗅覚平衡感覚以外の感覚は,体性感覚内臓感覚に分類される。このうち体性感覚は,更に,体の表面で感じる皮層感覚と,体の深部にある骨格筋中の筋紡錘や腱,関節で感じる自己受容感覚に分けられる(p. 173)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

㊹ 知覚の可逆性

脳損傷により,感覚機能が弱くなったり,喪失した場合,ほかの感覚機能をつかさどる脳領野が柔軟に変容し,その機能を補完するようになる.このような脳の柔軟な機能再建を知覚の可塑性 (脳の機能代償)という(p. 21).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊺ 嫌悪条件づけ(=恐怖条件づけ)

嫌悪刺激をUSとした古典的条件づけで、恐怖条件づけともいう。ワトソンはネズミを恐れない生後11か月のアルバート坊やに、白ネズミをCS、大きな音(アルバートは驚いて泣く)をUSとして古典的条件づけを行った。アルバートは白ネズミを怖がるようになっただけでなく、白ウサギやサンタクロースの白ひげも怖がるようになった(刺激般化)(p. 46)。

『心理学検定基本キーワード集 改訂版』(実務教育出版)より

㊻ 社会的認知理論

社会的認知理論とは,人間は環境に積極的に働きかけながら個人的な構成概念 (コンストラクト)を構成し,それによって社会を解釈し,認知していくというものである.また,社会的認知理論では自分自身を解釈するために用いる個人的構成概念=パーソナルコンストラクトも重要な位置づけとなる(p. 33).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊼ サーカディアンリズム

サーカディアンリズム (概日周期) は,ある行動を日出と日没に関連した約24時間周期と同調させる現象である.たとえば,動物がもつ睡眠一覚醒サイクルがある.このリズム形成には,視床下部の視交叉上核(しこうさじようかく)が関わっている(p. 38).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊽ 社会的影響

個人や集団成員の態度,意見,行動が,他者や集団からの影響によって変化する過程のことを社会的影響という.同調,集団成極化,少数派の影響,社会的促進などがある(p. 43).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

㊾ TEACCH(treatment and education of autistic and related communication handicapped children)

ASDの特徴に合わせた内容 (たとえばものごとを構造化するなど) から構成され,当事者と当事者家族を生涯にわたり支援することを目指したプログラムである.支援者には,心理師や専門家のみならず,地域社会も含まれており,包括的な内容となっている(p. 293).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

㊿ 回想法

1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提唱した心理療法過去の懐かしい思い出について「話す」「聞く」「コミュニケーションをとる」という行為で脳が刺激され, 認知症予防認知症の進行を遅らせることができる.また,精神状態を安定させる効果が期待できるため, 高齢者のうつ病予防に用いられることもある(p. 419).

*臨床心理士資格試験では「心理検査」(☓)としてよく出題されている。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

51)ナラティブアプローチ

個性記述的アプローチでは,面接法や,対象者の書き記したものなどを用いて,質的に,その「個性」をとらえようとする.このように主観的側面含めてパーソナリティを理解しようとすることを「ナラティブアプローチ」(narrative approach)とよぶ(p. 190).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

52)人間心理学的アプローチ

人間心理学的アプローチとは,個人の人生の主観的な体験を重視し肯定する立場である.その主な方法論である個性記述的アプローチにおいてナラティブアプローチの手法を用い,面接法や対象者の書き記したものなど,主観的側面を含めて,質的にその「個性」を捉えようとする(p. 35).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

これまでのべてきたような人間を客観的・分析的にみる性格理論に対して,人生の目的や生きる意味,自己実現等,個人が「望ましい」状態へと向かう心の動きから性格を見ようとするのが,人間性アプローチの性格理論である(p. 322)

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

53)社会的ネットワーク

社会的ネットワークとは,個人がもつ対人的なつながりのことであり,その豊かさは,当人の身体的,精神的な健康に影響を与える(p. 44).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

54)養育信念・家族の情緒的風土

子どもの情緒的発達において, 養育信念 (養育者のもっている子どもに対する見方,考え方) や養育態度,また家族の情緒的風士 (夫婦関係の良好さや家族の表出性のポジティブさなど) が与える影響は大きい(p. 46).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

55)夫婦間暴力・家族再統合

ただし,この心理的支援の対象は,子どもだけでなく,親も含む.たとえば親による虐待の原因に,家庭の貧困や夫婦間暴力 (DV, IPV) など親自身が抱える心理的課題が存在することが多い.そういった場合に,子どもたちへの支援だけでは,課題解決が難しくなる.子どもたちは家庭での生活が前提となるため,上記のような不適切な)教育につながる要因をできるだけ減らすためにも親への支援も並行して実施する必要がある.また,児童養護施設や乳児院に入所する児童の家庭復帰 (家族再統合) や,里親制度および将来的な養子縁組制度の利用に向けた支援の場合にも,親子関係調整とアセスメントが必要となる(p. 410).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

56)ジェンダー

ジェンダーとは,特定の社会が男性または女性にふさわしいと考える役割行動,態度を表すときに用いる表現である.生物学的性差とは使い分けられる.それ自体に良い悪いの価値判断は含まれない(p.51)

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

57)セクシュアリティ

セクシュアリテイとは,性行動に関する個人の選択や,性に関連する行動・その傾向を示す概念である(p. 51).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

58)健康寿命

平均寿命より,日常生活に制限がなく,健康的に社会活動ができる健康寿命の差の拡大が,現代社会の課題となっている(p. 55).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

59)ペアレントトレーンング

・ペアレント・トレーニングとは,子どもの行動上の問題に対して,親(養育者)が行動変容理論等の学習理論に基づいた態度や技法で関わることを学ぶための,グループトレーニングである。親が子どもの問題行動を客観的に理解し,適切な関わり方を習得することで,子どもの適応行動が増え,親の育児ストレスの緩和や肯定的な親子関係を促進することが期待できる。ペアレント・トレーニングの導入にあたっては,子どもの障害,年齢,発達や行動の特性及び親の特性を十分に考慮して,グループ構成やプログラム内容を検討することが重要である(p. 430)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

・ADHD
に対してエビデンスが示されている心理療法は,行動的ペアレント・トレーニング,行動的クラス・マネジメント,行動的仲間介入,行動的介入の組み合わせ,整理トレーニング (organization skills training) である. 整理トレーニング以外は行動療法をベースとしており,行動療法で用いられる問題解決方法を保護者に教えて,子どもに対して実施してもらうのが行動的ペアレント・トレーニング学校の教師に教えて子どもに実施してもらうのが行動的クラス・マネジメント,クラスの友人に教えて対象の子どもに実施してもらうのが行動的仲間介入である.整理トレーニングは教材などの整理整頓,時間管理,提出物の管理などの方法を子どもに教える支援方法である(p. 292).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

60)援助要請

対象者の特性や状況をふまえ,援助要請に応じた最も適切な支援を選択し,実行する必要がある.対象者が精神病圏にある場合や,子どもである場合には,その関係者・家族との話し合いとともに,実行・修正・また実行を繰り返して行う(p. 67).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

61)作業同盟

作業同盟とは,治療同盟ともよばれ,侵襲性の高い技法において,お互いに一定の心理的距離を保ちながら信頼関係の中でしっかりと取り組んでいく関係のことである(p. 68).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

62)包括的アセスメント

・主に終末期を迎えつつある高齢者を対象とした,生活ケアや死後のグリーフケアでは,医療的ケアなどと合わせた包括的アセスメントが求められる(p. 81).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

<発達障害文脈のオマケ>

・包括的アセスメントの要素とは大きく分けると以下になる。

発達障害に特化したアセスメントここに挙げたものなど←リンク)

知的水準・認知的特徴のアセスメントWISC-新版K式発達検査など←リンク)

適応行動のアセスメント日本版Vineland-凝応行動尺度など←リンク)

感覚や運動のアセスメント(感覚:日本語版感覚プロファイル,運動:DCDQ-R(間接),M-ABC 2(直接)など)

併存する精神疾患のアセスメント(M. I. N. Iなど)

心理社会的・環境的アセスメント(家族・学校・職場・地域など)

(p. 37)

*( )内は引用者が39-42頁のものを挿入した。

『公認心理師のための発達障害入門』(金剛出版)より

63)組織風土と文化

組織風土とは,企業風土,社風ともいわれ,ほかの組織と区別されるような独自の特性をさす.組織構成員が直接的あるいは間接的に知覚し,彼らの考え,感情動機づけに影響を与える要因である.一方, 組織文化は企業文化ともいい,企業理念, 経営のあり方,さまざまなルールなどからなり,組織構成員の仕事の進め方に直接影響する要因である(pp. 465-6).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

64)作業療法

狭義の作業療法は,農耕,牧畜,木工,手芸などのような生産的な作業を指す.広義の作業療法はさらにレクリエーション療法,生活指導なども含める(p. 97).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

65)逃避・回避学習

電気ショックなどの有害な刺激を避ける行動を逃避といい,有害な刺激に対して特定の反応を行うことで,事前に避けることができるようになることを回避学習という(p. 25).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

66)一貫性論争

ミシェル Mischel, W. は,行動はどのような状況でも一貫性があるのか,どのような状況でも存在するパーソナリティ特性はあるのかという疑問を投げかけて,一貫性論争 (人間一状況論争) を引き起こした(p. 34)。

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

67)道徳性(テキスト269頁)

<ピアジェ>
 ピアジェは,子どもの道徳性の発達を3段階に分け,「自己中心性」段階から「他律的道徳」段階へ,そして「他律的道徳」段階から「自律的道徳」段階へと発達すると考えた.
 5,6歳ごろまでの子どもは,自己中心性に特徴づけられ,自己と他者の区別がつかない.そのため,まわりにあるすべてのものを自分のものだと考えるなど,規則についてほとんど理解していない.5,6歳頃になると,規則は,たとえば両親のような重要な他者によって決められていると思い,規則を絶対的に服従しなければいけないものと考えている.
 善悪の程度は,意図ではなく行為の結果によって判断する.それが10歳以上になると,適正な手続きとまわりの合意があれば,規則の変更を認めるようになるなど,より柔軟な考え方ができるようになる.行為の背景にある意図を基準に,善悪の判断ができるようになる(pp. 262-3).

<コールバーグ>
 ピアジェの道徳性の発達段階は,児童期までにとどまっていたのに対して,コールバーグは,青年期成人期も含めた道徳性の発達を考えた.コールバーグは,生命や法,良心,罰といった普遍的価値が葛藤するストーリー(ジレンマ課題)を用いて,道徳性の発達を捉えた.下記のジレンマ課題は,最もよく知られている「ハインツのジレンマ課題」である.
 コールバーグは,判断それ自体ではなく,なぜそう判断するに至ったかの「行為の理由づけ」によって,道徳性の発達を以下の段階に分類した.
 前慣習的な水準では,「盗んだら刑務所に入ることになるから盗んではいけない」というように,罰に対する恐れや,「薬を手に入れることによって妻が喜ぶから盗んでもよい」というように,報酬を手に入れることによる自己や他者の欲求に価値がおかれる.
 慣習的な水準では,「盗まなかったら,周りから奥さんを見捨てた冷たい人間だと非難されるから」というように,人からどう見られるか(避難や不名誉を避ける),あるいは「法律を守らないのはいけないから,盗んではいけない」のように,その行為が社会的秩序を壊さないかどうかを基準とする.
 最後の脱慣習的な水準は,「生命の価値は社会の定めた法律を超えたところにあり,何より尊重されるべきものだ.もしハインツがここで薬を盗まなかったら,一生,良心の呵責にさいなまれるだろう」というように,みずから選択した倫理的基準に従うなど,人間の尊厳や正義,良心にかなっているかどうかを基準とする(pp. 263-4).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

68)社会的ジレンマ(テキスト265頁)

自己の利益を図る個々人の合理的選択の集積的結果として,究極的に集団全体が窮することを社会的ジレンマ (social dilemma) という。より正確には,社会的ジレンマは,仝帖洪佑篭力または非協力行動のどちらかを選択する,個々人にとっては協力行動よりも非協力行動をとる方が望ましい結果を得る,しかし全員が自分にとって有利な非協力行動をとると,そろって協力行動をとった場合よりも望ましくない結果が生起するというものである。だが非協力行動は短期的には個人に得をもたらすから,「みんなのことを考えよう」というお説教ではことは解決しない(p. 340)。

『心理学 新版』(有斐閣)より

69)印象形成

アッシュ (Asch,1946) は,たとえばある人物を記述して紹介する際,その性格特性として,ある一群の被験者には「知的な−器用な一勤勉な−温かい−決断力のある−実際的な−用心深い」という形容詞のリストを示し,他の一群の被験者には,「知的な−器用な−勤勉な−冷たい−決断力のある−実際的な−用心深い」という別のリストを示した.これら2つのリストは,「温かい」と「冷たい」という部分
が異なっているだけであるが,話題としている人物について作り上げられた全体印象は,前者のほうがずっと好意的であった.アッシュは,「温かい」「冷たい」という形容詞がいわば核となり,これを中心にして他の語がまとめられて(体制化されて)人物の全体的な印象が形成されると考えた.これらの特性を中心特性という.一方,リストの中の「温かい」の代わりに「礼儀正しい」「冷たい」の代わりに「無愛想な」という形容詞を用いた場合には,話題となった人物に対して形成される全体印象には大きな違いはなかった.このように,印象形成の過程にあまり影響を及ぼさない特性を周辺特性という(p. 272).

『心理学 第5版』(東京大学出版会)より

70)原因帰属

ある成功や失敗の原因がどこにあるのかを考えることを原因帰属という。ワイナー (Weiner, B.,1979)は、所在安定性統制可能性の3つの次元で原因帰属を分類している。所在は、原因がその人の内部にあるのか外部にあるのかという次元である。安定性は、一時的なものか、長期にわたるものかという次元である。統制可能性は、自分にとってコントロールが可能かどうかという次元であり、どのような原因帰属を行うかによって、後の行動に対する成功の期待や感情が決まり、次の行動が決定されると考えた。

達成動機が高い人と低い人とでは、この原因帰属が異なるという。達成動機の高い人は、成功を能力の高さや努力に帰属し、失敗を努力の欠如に帰属する傾向が強い。仮にあるテストの点が悪かったとしても、その原因が努力不足にあると考える人は、もっと頑張って勉強すれば、次はよい点が取れるだろうという期待が持てるので、動機づけは低下しにくい。一方、達成動機の低い人は、成功を課題の難しさや運などに帰属し、失敗を能力の欠如に帰属する傾向が強い。テストの点が悪かったのは、自分の能力が低いからだと考えてしまうと、何をしても無駄だろうと、動機づけは低下してしまう。失敗でやる気をなくしやすい子どもが、ある課題や目標に対し、前向きに取り組めるようにするためには、その原因を努力不足へと帰属させるような働きかけをすることも重要である(p. 104)。

『心理学検定基本キーワード 改訂版』(実務教育出版)より

なお「帰属」が社会心理学の文脈でも出てきている。

帰属とは,「物事の原因を予測する」ことである.たとえば, 人がある行動をとったときに,なぜそのような行動をとったのか原因を考えることである.原因が行動をした本人の内面的な要因であると考える「内的帰属」と,原因が行動をした本人ではなく周囲の状況などの要因であると考える「外的帰属」がある.

帰属の過程については,さまざまな理論がある.ジョーンズ Jones, E. とデイヴィス Davis, K. の対応推論理論では,「電車のなかで席をゆずった人を見て,あの人は親切な性格だな」ととらえるように,行為者の性格などの内面的な要因に帰属される過程を説明している.ある行為がその人の性格によるものだと判断されるときには,その行為とその人の性格とを結びつけること (対応性) が重要であるとしており,この対応性には,行為者のその場での役割や,行為をすることによって得るものや,その行為の社会的望ましさなどが影響を与える.また,ケリー Kelly, H. の共変モデル (ANOVAモデル)では,他者の行動を帰属する際に,内的帰属もしくは外的帰属するのかについては,3つの要因 (弁別性,一貫性,合意性) の組み合わせによって決定すると考えられている.たとえば,ある人がある漫才をおもしろいと思っていることを推論する場合,その人はどの漫才を見てもおもしろいと思うのか (弁別性),どんなときでもどんな場所でもその漫才を見ておもしろいと思うのか (一貫性),ほかの人もその漫才を見ておもしろいというのか (合意性) という点を考慮し,その漫才のみが,どんな場所で見てもおもしろく,周囲の人もおもしろいと評価している (弁別性,一貫性,合意性がすべて高い) 場合,その人がある漫才をおもしろいと思っているのは,「その漫才がおもしろいからだ」というように外的帰属が行われる.

前述した帰属理論の考え方のように,人はいつもすべての要因を把握して,正しくものごとの原因を予測しているわけではない.むしろ,すべての要因が把握できないため,自分の経験からもっている因果関係に関する知識 (因果スキーマ)を用いて帰属したりする.正しく物事の原因を予測できず,帰属を誤ってしまうことを帰属のエラーといい,代表的なものを以下にあげる.人は,他者のある行動の原因を考える際に,周囲の状況などの外的帰属よりも,性格などの内的帰属だと判断しやすい.これを根本的な帰属の誤り(エラー)という.一方で,自分のことになると,周囲の状況などを考慮しやすくなり,自分が観察者の場合は内的帰属をするのに対し,行為者の場合は外的帰属をする (行為者-観察者バイアス).また,自分の成功体験や失敗体験の原因帰属については,成功は内的帰属失敗は外的帰属というように自分に都合のよい帰属が行われてしまう.これを自己奉仕的 (高揚)バイアスという.また,宝くじは他人に選んで買ってもらうより,自分で選んだほうが当たると考えるなど,偶然に生じることであっても,自分で統制することができるという錯覚 (コントロール幻想) も,帰属のエラーである.このような帰属のエラーやバイアスは,社会的推論 (自己や他者を含むさまざまな社会的事象に関して行う推論のこと) のゆがみとして考えることができる(pp. 238-40).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

71)リエゾン精神医学

リエゾン精神医学では,精神科専門治療の必要性を早期に発見し,早期に治療を行うことにより症状の緩和や早期退院を促進することが目的となる (リエゾンはフランス語で「連携」を意味する).ここでは,精神科医やリエゾン看護師,薬剤師,精神保健福祉土作業療法士, 心理技術職などの多職種が連携しながら治療・支援が行われる.なお,こうした多職種連携の形は精神科リエゾンチームとよばれる(p. 73).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

72)誤学習

発達障害をもった者が,社会に適応するために,誤った適応方法を学び実践することを誤学習という(p. 78).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

73)衝動制御困難

突発的に自分または他人に対し危害を加える行為を抑えることができない障害を,衝動制御困難という(p. 79).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

73)感情制御困難

本人にとって,とても辛い感情を何らかの手段で調節しようとしてもうまくいかず,暴言や暴力,自傷などで生活に支障を来すことを感情調節困難という(p. 79).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

74)愛着形成の阻害

子どもの成長過程の中で,親や周囲の者との関わりが不適切であった場合,愛着形成が阻害され,その後の成長発達に悪影響を及ぼす(p. 78)。

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

75)基本的生活習慣の未熟さ

基本的生活習慣が未熟な状態とは,子どもが睡眠食事,排泄,清潔,衣類の着脱など,日常生活を送るうえで基盤となる行為や社会規範などを十分に学ぶことができないまま成長した状態をいう(p. 78).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

76)セルフモニタリング

自らの現在の学習の進度や思考過程等について,観察あるいは評価すること。観察や評価の結果によって,学習方法を自発的に調整することを狙ったメタ認知的方略の一種である。学習場面のほか,カウンセリング場面においても用いられることがある(p. 232)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

自分自身の行動や生理学的変化,心理学的変化などをモニタすることをセルフモニタリングとよぶ。たとえば,毎日起床後に体重計に乗り,体重を測定・記録するなどがセルフモニタリングの例である(p. 574)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

77)心の理論(テキスト269頁)

人間は,他者の「こころ」の状態をどれだけ理解し,推量することができるだろうか.また子どもは,他者の「こころ」の状態を何歳頃になったら理解し,推量することができるようになるのだろうか.これは前項の自己意識の問題と関連し,社会行動や人間の行動一般の理解にとっても重要な問題である.このような問題は,最初,チンパンジーがヒトの「こころ」を理解できるかどうかの研究として,プリマックら(1978)によってはじめられた.その結果,チンパンジーが種々の実験場面で,ヒトの「こころ」の状態を理解できることが見出された.ヒトや動物が(異なった動物種間を含めて)他者の「こころ」の状態(目的,思考,意図,信念など)を理解し推量する働きを比喩的に「心の理論」と呼んでいる.この問題は,他者の「こころ」や自己の「こころ」についての理解や,メタ認知(自己の通常の認知活動を監視して,目標に沿って制御する認知の働き)の問題とかかわりをもち,幼児の認知発達を明らかにするための重要な課題である.通常,トピック2−9のような「誤った信念の課題:誤信念課題」または「サリーとアンの課題」と呼ばれる実験を通して,子どもが他者(サリー)の考えや信念を推量できるか否かを調べる.「サリー(人物A) はビー玉(対象物X) がカゴ(場所Y) にあると思っているか?」をたずねると,被験児は4歳頃までに正しく答えることができるようになる.これは一次的課題と呼ばれる.それに対して,複雑にした状況を設定することができる.すなわち「『人物Aは対象物Xが場所Yにあると思っている』と人物Bは思っているか?」というように入れ子状にした課題を,二次的課題という.このような課題に正答できるのは,健常児でも4〜7歳頃になってからである(pp. 42-3).

『心理学 第5版』(東京大学出版会)より

78)療育(テキスト148頁など)

療育とは,言葉や身体機能など発達の遅れのみられる子どもに対して,社会的に自立できるように取り組む治療と教育のことを意味する(p. 59).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

→ 知的障害に関しては,法律「知的障害者福祉法」に知的障害がどのようなものか明記されておらず,法律上の定義は定められていない.しかし,厚生労働省が実施した「知的障害児 (者) 基礎調査」では,「知的機能の障害が発達期 (おおむね18歳まで) にあらわれ,日常生活に支障が生じているため,何らかの特別の援助を必要とする状態にあるもの」と定義し,知的機能の障害を判断する基準としては知能指数がおおむね70までとした.このように「知的障害」を, 知能指数が70くらいまで, 18歳くらいまでに障害が生じている, 日常生活に支障が生じている,という3つの要素からとらえていることがわかる.児童相談所 (18歳未満) , 知的障害者更生相談所 (18歳以上) で知的障害であると判定されると療育手帳の交付を受けることができる.知的障害の判定は各都道府県が基準を定めているため,申請する都道府県によって療育手帳交付の基準は異なる(p. 285).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

79)グリア細胞(テキスト127頁)*出題者の専門と言われているのでマイナーだが取り上げた。

ニューロンとグリア細胞は神経系を構成する細胞である.ニューロンは,ほかのニューロンや臓器,筋肉に興奮の伝搬,伝達を行う特殊な細胞である.グリア細胞は,主にニューロン同士の間を埋め,それらの保護・栄養・電気的絶縁に働く (髄鞘形成) 機能をもつ(p. 36).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

ニューロンを支持する細胞を神経膠細胞(グリア細胞)という。グリア細胞は神経細胞の10倍あり,神経細胞の支持や栄養共有によりニューロンの働きを助けている。グリア細胞には星状膠細胞(アストログリア),稀突起膠細胞(オリゴデンドログリア),小膠細胞(ミクログリア)があり,神経成長因子や栄養因子などを分泌することで神経細胞の維持・再生に関与している(p. 255)。

『公認公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

アストロサイト:星の形をしており,神経細胞に栄養分を供給している。

オリゴデンドロサイト:神経細胞の軸索を覆い髄鞘(ミエリン鞘)をつくる。

ミクログリア:傷ついた神経細胞の修復を行うと考えられている。

『脳と心のしくみ』(新星出版社)p. 73より

80)馴化 脱馴化(テキスト268頁)

同じ刺激入力を繰り返すと徐々に反応が弱まることを馴化といい,新たな刺激を加えて反応が再開することを脱馴化という(p. 24).

『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

81)心理物理学

感覚・知覚(perception)の研究における最も基本的な方法は,物理的な刺激量(例えば明るさや音圧等)と心理量としての知覚の関係を調べることであり,心理物理学と称する(サイコフィジックス,精神
物理学ともいう)。最も重要な測定対象は閾,つまり知覚を決定する最小の物理量であり,感度はその逆数である。知覚できる最小刺激量刺激閾あるいは絶対閾刺激間の違いが分かる最小値弁別閾と呼び,増分閾,減分閾に分けることもある。弁別閾を,刺激の丁度可知差異(JND)と定義することもある。逆に,感覚を生じうる最大の刺激強度刺激項という。また,刺激間で刺激強度が等しいと感じられる主観的等価点(PSE)も重要な測定対象となる。これらは悉無的に決まるわけではなく,確率的に変動する(心理測定関数)。測定には,恒常法,極限法,調整法及びそれらの変形版等の,心理物理学的測定法が用いられる。

ウェーバーは,弁別閾が標準刺激の強度に比例する,すなわち標準刺激Rと弁別閾RについてR/R=C(Cは定数)が広範囲において成立することを示した(ウェーバーの法則)。R/Rはウェーバー比と呼ばれる。心理物理学の創始者とされるフェヒナーは,これを感覚量Eに拡張し,微小感覚量について"E=h(dR/R)が成り立つと考え,積分によってE=hlogR+c(cは定数)という関係を導いた。ここでE = 0 となる刺激γ を仮定するとE=hlogR/γという対数比例関係が示される(フェヒナーの法則)。弁別閾において感覚量はOであると考えることができるので(γ=4R),弁別閾は広範な感覚量の基準となり,知覚研究における極めて重要な測定量であることが分かる。閾レベルを大きく上回る刺激への知覚量を調べるには,基準刺激に対する知覚量を主観的に数値化して報告させるマグニチュード推定法が用いられる。スティーヴンス(1957)はこの方法を用いて様々な感覚を測定し,感覚量は物理量のべき関数で表されることを示した(スティーヴンスの法則)。実際にはフェヒナーの対数法則との違いは小さく,ともに近似則として使い分けられる(p. 143)。

極限法実験者が刺激強度を順次変化させ,知覚応答が変化する刺激強度を求める。履歴効果(hysteresis)を避けるため,通常は上昇系列,下降系列の両方を行う。発展形として,変化点近辺で刺激強度を連続的に上昇下降させて収束点を求める階段法(staircase method;上下法up-and-down methodとも呼ばれる)が多用されている。階段法では,予測を困難にするため,複数系列の刺激をランダムに織り交ぜることがある。変化幅を統計的推定に基づいて制御し,更に効率化を図るPEST,QUEST等の適応的手法(adaptivemethod)も数々提案されている(p. 143)


恒常法刺激の強度をランダムに変化させながら繰り返し呈示・応答を求め,知覚確率を刺激強度の関数として表す心理測定関数を求め,そこから閾,JND等を算出する。通常,知覚できた-できない,大きい-小さい,などの二肢強制選択反応を用いる。実験参加者の予測が困難で客観性が高く,履歴効果等のバイアスも少ない。刺激強度の範囲と測定点は予備的観察で適切に決定する必要がある。確率を得るため各測定点に多数の繰り返しが必要となる。そのため多大な時間と実験参加者の労力を要するが,得られる情報量は多い(p. 144)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

82)明るさと色の知覚

光を受容する2種類の視細胞は、環境によってさまざまに感度を変化させる。明るい場所では錐体暗い場所では桿体が相対的に優位な状態となる(前者を錐体視、後者を桿体視と呼ぶ)。錐体視と桿体視では感度のピークとなる光の波長帯が異なるため、それぞれの状況において、より明るく知覚される色もまた変化する(プルキンエ現象)。一方、暗闇から急に明るい場所へ移動すると、一時的な盲目状態となるが、次第に目が慣れる現象が生じる。この現象は、桿体の感度低下と錐体の感度上昇という順応過程を表しており、これを明順応と呼ぶ(この反対の過程を暗順応と呼ぶ)(p. 72)。

色覚のメカニズムに関する仮説は、三色説と反対色説と呼ばれる2つの仮説をもとに発展してきた。三色説とは、赤、緑、青の光に選択的に反応する物質が網膜上に存在し、この3種の反応の組合せによってあらゆる色の知覚が実現されるとする仮説である。一方、反対色説とは、赤一緑、青一黄、白一黒という拮抗する色検出チャンネルが存在し、チャンネルごとの出力の組合せによって色覚を説明しようとする仮説である。三色説は混色の事実を、また反対色説は色残像などの色覚現象をよく説明する。ま
た、どちらの仮説にも一定の生理学的根拠が認められていることから、今日では両者を異なる情報処理段階において統合した段階説が主流となっている(p. 73)。

『心理学検定基本キーワード 改訂版』(実務教育出版)より

83)空間(運動,奥行き)の知覚

<運動の知覚>
運動の知覚は、対象が物理的に運動している場合だけでなく、実際には運動していない対象に対しても生じる。対象が物理的に運動している状態を実際運動と呼ぶ。また、実際には運動していない対象について知覚される見かけの運動を仮現運動と呼ぶ。実際運動の知覚メカニズムは、特定の方向への運動にのみ反応する方向選択的細胞の存在によって説明されている。運動に対する感度は、移動方向によって異なり、鋭敏な順に、垂直方向、水平方向、奥行き方向となる(p. 76)。

『心理学検定基本キーワード 改訂版』(実務教育出版)より

仮現運動:複数の静止映像を順々に提示した時に画像特徴の移動に対して感じる運動感覚。動画表示技術の一般原理。仮現運動は連続的な実際運動を離散的にサンプリングしたものであり,実際運動と同様,低次の運動検出器で運動信号を抽出することができる(p. 160)。

運動残効:同じ方向の運動(順応刺激)を見続けた後に静止対象(テスト刺激)を見ると,反対方向の運動が知覚される錯視。「の錯視」としても知られている。テスト刺激に対する順応方向の運動検出器の出力が弱まり,反対方向の出力が相対的に大きくなったため生じると考えられている。静止刺激ではなく,運動方向があいまいなテスト刺激を用いても,順応と反対方向の運動知覚が誘導される。また,順応運動方向のコントラスト検出感度が選択的に低下し,順応運動方向から角度的に離れるようにテスト刺激の運動方向が変位する。運動処理の複数の段階で生じる順応効果が,これらの運動順応現象を生んでいる(p. 160)。

誘導運動の動きの反対方向にが動いて見えるように,静止した刺激が周辺の運動の反対方向に動いて見える対比錯視。対象間の相対的な運動を符号化しようとする視覚系の仕組みが反映したものと考えられる(p. 161)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

<奥行きの知覚>
3次元性の知覚を奥行き知覚と呼ぶ。網膜は2次元的構造であるので、脳は奥行き情報を再現するためになんらかの手がかり(奥行き手がかり)を利用していると考えられる。奥行き手がかりは、その成立に左右両眼を必要とする両眼性手がかりと単眼視においても成立する単眼性手がかりに大別することができる。両眼性手がかりには、両眼視差と輻譲(ふくそう)がある。左右の眼は水平方向に約6cm離れており、至近の対象に視線を合わせるためには、両眼を内側に回転させる必要が生じる。こうした眼球の内転運動を輻穣と呼ぶ。また、輻穰の角度(輻嬢角)が大きいほど、左右の眼に投影される像にはずれが生じる。このずれを両眼視差または両眼像差と呼ぶ。脳は、輻穰と両眼視差を奥行きの手がかりとしており、両者が大きい対象ほど、近くに存在していると認識する。2次元上で奥行きを感じさせる絵画、ステレオグラムは両眼視差を利用したものである。単眼性手がかりには、調節、絵画的手がかりなどが存在する。調節とは、眼球における水晶体の厚みの調整作用を意味する。近い対象を観察する時ほど、水晶体は厚みを増すため、この状態が奥行き手がかりとして利用されている。絵画的手がかり3次元上の奥行き情報と2次元平面上における3次元情報の絵画的表現との関係を観察者が学習することによって成立する手がかりであり、経験的手がかりとも呼ばれる。この中には、遮蔽(重なり合い)、線遠近法、肌理(きめ)の勾配、陰影などが含まれる(p. 75)。

84)物体・シーンの知覚

日常場面における視知覚の目的は多くの場合,眼前の物体やシーンを知覚することである。物体やシーンの知覚は通常特に努力の必要もなく自動的に行われているように感じるが,網膜に入力される視覚情報と知覚すべき物体やシーンの対応関係を考えれば,これが極めて複雑な過程であることが分かる。特に,三次元物体は,視点によって与えられる網膜像は大きく変化するにもかかわらず,我々は効率的な知覚が可能である。また,シーンはそれを構成する物体やその配置関係に大きな自由度があるにもかかわらず,極めて短時間でも正確にシーンを把握できることが知られており,超高速カテゴリ判断と呼ばれている。

三次元物体の知覚を巡っては,視点依存性の問題が議論されてきた。心理物理実験から,三次元物体の知覚は視点に依存することが知られている。日常的には,視点に関係なく瞬時に知覚できるように思えるが,知覚の反応時間等を計測すると非典型的な視点では遅延が見られる。また,視点依存性と関連した現象として心的回転がある。心的回転は,ヒトが異なる視点から見た物体の異動を判断する時,物体の心的表象をアナログ的に回転していることを示唆するが,この妥当性を巡っては議論がある(p. 164)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

以下云々かんぬんと続くが時間に余裕のある方は読んでおくと良いかも。おそらく馴染み深い以下が出しやすいのではないか。

心的回転異なる視点から見た物体の異動判断をする際,物体を心的に回転させて判断する心的機構シェパードとメッツラーは,立方体を組み合わせた複雑な三次元物体の異同判断時間が,二つの物体の回転角度に比例することを報告し,アナログ的な心的表象の存在を示唆した。傾いた日常物体の知覚
時間は遅延することから,形状の知覚でも心的回転を行っている可能性が指摘される。これら行動データのアナログ表象と,その連続変換の証拠としての妥当性には議論がある(p. 166)。

『心理学辞典 新版』(誠信書房)より

85)就労支援

障害者の就労支援の状況 厚生労働省(←リンク)

発達障害者の就労支援 厚生労働省(←リンク)

就労移行支援事業就労継続支援A型事業就労継続支援B型事業ジョブコーチ(ジョブコーチは臨床心理士資格試験に出たことがある)辺りがポイントかも。

----ここからは公認心理師試験を受けて漏れがあったものを記載-------------

86)引きこもり

心理療法を受ける場所に自ら赴くことに困難を抱える要支援者(典型的には不登校や引きこもりの問題を抱える人たち)に対し,アウトリーチ(訪問支援)力泌要となる.

→しかしこれだけでは解けなかったような(^_^;)。他の有名どころでも解答できなかったと思われる。

87)裁判員制度(テキスト103頁・105頁)

裁判員裁判は,原則として,裁判官が3名,裁判員が6名の計9名から構成される.その評決は,双方を含む多数決によって行われる.

→この数に関しては出ていたので無念(テキストには数は記載なし)。ただ詳しい制度までは誰も勉強できていなかったのではないか。

88)自殺の予防

改正自殺対策基本法(平成28年4月1日施行)に基づき,自殺対策を支援する機能を強化することを目的
に,自殺総合対策推進センターが設置されるなど,社会における自殺予防への意識が高まっている.ここではゲートキーバーの養成なども行われている.こうした中,心理技術職は,「いのちの電話」や自殺未遂者支援における相談業務など,自殺対策の直接的かつ重要な役割を担うこともある.

→法律で良いのかと思いきやゲートキーパーが出題されていた。辰巳の問題集にはゲートキーパーを問う問題があったと記憶しているが,それをやって正解できたかどうかは謎である。

86)〜 88)『公認心理師国試必須センテンス』(学研プラス)より

☆おまけ)関係行政論直前数字最終チェック』(←リンク)