(1)感情に関する理論

 感情の理論に関しては,古典的なものとしては,感情の進化的起源を仮定するダーウィンの[ A ],様々な身体的反応が脳にフィードバックされて主観的情感が生み出されるとする[ B ],大脳皮質が主観的情感を生み出す本体であるとする[ C ],種々の感情が快一不快と生理的覚醒の2次元の組合せによって規定されるとする[ D ],感情が遭遇事象に対する認知的解釈と生理的覚醒の組合せによって生起すると仮定する[ E ]などがある(p. 249)。

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より 

 また,現在主流の理論としては,ダーウィンの表情論を発展させ,各種情動をそれぞれ特異な進化的適応反応とする[ F ],事象に対する多次元的評価 (appraisal) が各種情動の特異性を生み出すとする[ G ],次元論を発展させ,主観的情感がその時々のコアアフェクトに個々人の認知的解釈が持ち込まれて成立すると仮定する[ H ],主観的情感が文化特異な感情概念や感情語などに規定されてある,あるいは各種感情が文化固有の社会化の産物であるとする[ I ]などがある(pp. 249-50)。

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

(2)感情喚起の秩序

 感情喚起に関しては,事象との遭遇及びそれに対する認知的評価から,特異な主観的情感,生理的変化,顔の表情や発声などの表出あるいは独特の行為傾向の発動を経て,具体的行為の現出及びそれに対する制御に至る一連のプロセスが仮定されている。また,それを支える脳神経学的基盤を問う研究も盛んに行われており,扁桃体,視床下部,島,前頭前腹内側部などを中心に様々な機序の仮定がある。そして,そこでは特に大雑把だがきわめて迅速に生じる[ J ]回路と,高次認知処理が介在しより複雑な情動の生起に通じる[ K ]回路という2種の経路が注目されているようである(p. 250)。

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

4)感情

 喜怒哀楽のような様々な情動の認知に関与するのは,扁桃体,海馬,帯状回等からなる[ L ]系であり,特に,[ M ]は強い情動を伴う記憶の固定にも関与している。[ M ]は前頭前野をはじめ大脳皮質と密に連絡して,その制御を受けるとともに,視床下部や橋延髄の[ N ]系の中枢にもニューロン線維を送り,情動に伴う身体の反応を引き起こす(p. 258)。

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

3.感情と社会性の発達

 感情の起源と発達に関しては,いかなる理論的立場に依拠するかによって多少見解の相違があるが,子どもは出生時点で少なくとも[ O ],[ P ],[ Q ]という感情を有しているようである。その後,認知機能が発達し,種々の経験が蓄積される中で,[ R ]頃までに喜び,悲しみ,怒り,恐れ,嫌悪,驚きといった基本感情を見せるようになり,また,[ S ]前後くらいに,自分が他者から見られているという気づきも含め自分自身に意識が向くようになると,照れ,羨望,共感などの自己意識的感情を現すようになると言われている。さらに,[ T ]を超えて,社会的ルールや基準がわかり始めると,それに従って自己の行為を評価できるようになり,失敗には恥や罪悪感,一方,成功には誇りなどの自己評価的感情を経験・表出できるようになるとされている。このように,感情のレパートリーは生後[ U ]の間に大人のそれにかなり近しいところまで発達する・・・(p. 268)

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より




 
 現任者講習会テキストから感情に関するところを抜粋した。臨床心理士資格試験では,末梢起源説と中枢起源説はよく出てきていたが,テキストではさらに詳細になっているようだ。理論系がなかなか覚えられないので,ここでまとめてみた。

A.表情論

 (ダーウィンは)表情は,進化のプロセスにおいて獲得された行動様式であり,ヒトという種が生まれながらにもつ感情表出の様式であると主張した(p. 63)。『感情心理学』(培風館)

B.感情の末梢起源説

 ジェームズ James,W.,ランゲ Lange, C.による,感情喚起の機序に関する古典的な理論の1つである.刺激・状況によって喚起された身体反応,感情体験引き起こすとする.ジェームズは,「悲しいから泣くのではない,泣くから悲しいのだ」と説明している.脳内では,対象を感覚皮質によって知覚すると,運動皮質にその情報が伝わり身体反応が生じる過程が想定されている.そのような身体の変化を体験することが感情体験である,ということになる(p. 176)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

C.感情の中枢起源説

 キャノン Cannon,W., バード Bard, P. による,感情喚起の機序に関する古典的な理論の1つである.脳中枢で生じるプロセス末梢反応先行するとする.ジェームズーランゲ説に対して,「悲しいから泣く」と説明される.脳内では,外界からの刺激はまず視床に送られる.視床は大脳の感覚皮質に情報を送る一方,視床下部にも情報を送る.大脳に送られた情報・刺激のパターンによって感情体験の内容・種類が決定され,視床下部に送られた情報によって身体反応が生じることになる(pp. 176-7)。

D.次元論

 基本感情説とは異なる立場として,次元説(次元論)がある.ラッセル Russell, J. は,感情は「快一不快」の軸と「覚醒一睡眠」の軸の2次元上に配置されるという円環モデルを提唱している(p. 179)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

E.感情の2要因理論

 シヤクター Schachter, S., シンガー Singer, J. による,感情喚起の機序に関する理論である.感情は,生理的喚起が生じた後に,その身体反応を認知的にどのように評価・解釈 (ラベリング) するのかによって定まる,すなわち,生理的な変化と,原因帰属の2側面から構成される,とする説である(p. 177)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

F.基本情動理論

 イザード Izard,C. は,興味・興奮,喜び,驚き,苦悩・不安,怒り,嫌悪,軽蔑,恐怖, 恥, 罪悪感のlO種類を,エクマン Ekman, P. は, 幸福, 怒り,悲しみ, 嫌悪,驚き,恐怖の6種類を基本感情に挙げている.これらの基本感情は,特定の刺激を知覚すると生じ,固有の表情・姿勢を表出させ,自律神経系の活動を引き起こすとされている.また,これらには通文化的普遍性があると主張される点が特徴である.しかしながら,どの感情を基本感情とみなすのかは,研究者によって異なる(p. 179)。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

G.認知的評価理論

 アーノルド Amold, M. は,感情の認知説,すなわち,刺激と反応の間には認知的評価 (cognitive appraisal) が介在する,とする説を提唱している.アーノルドのいう認知的評価とは,刺激の「良い-悪い」判断のことであり,それに基づいて,良い刺激には接近し,悪い刺激からは回避する行動傾向が導かれることになる.それらの行動傾向を引き起こす動機づけが意識されると,それが感情体験になる,という.ラザルス Lazarus, R. も同様に,認知・評価を重視するモデルを提唱している(p. 178).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

H.感情の心理的構成主義

 コア・アフェクトとは,「今の気分は」と尋ねられて,「なんとなく良い感じがする」「少し嫌な感じがする」と返答するときに感じられる主観的感情状態のことである。・・・コア・アフェクトとは,次元説で主張された2軸(快・不快と覚醒・睡眠度)から構成される空間上に配置される原初的な感情状態であり,非内省的に生じるが,意識化することも可能な神経生理学的状態である(p. 72-3)。『感情心理学』(培風館)

・ 感情反応(感情と呼ばれるものではない) → 感情プロトタイプ(*)との類似性に基づき怒り等の感情概念(感情エピソード)が生成される。 

(*)感情概念(感情エピソード)が生成される前段階のもの。感情エピソードを生成するための(認知的)材料

I.感情の社会的構成主義

 感情を生物学的実体と考えず,個別の感情は文化によって構築されると主張する説である.感情は,個々の社会・文化に固有の思考法,経験,情動表出法に基づいて獲得され,状況についての個人の認知的評価や,ある文化における人間関係の目標,人間関係のあり方,あるいは社会的規範などによって形成されること,すなわち社会・文化的に規定される (社会的に構成される) ,とされている(p. 178).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

J.皮質下(辺縁系)中心の

K.皮質経由の

L. 辺縁

M. 扁桃体


 扁桃体は左右側頭葉の内側に位置する神経核である.扁桃体の損傷によって,恐怖感情の認知,恐怖感情の表出が失われる〔クリューバー・ビューシー症候群 (Kliiver-Bucy syndrome) の一症状〕などの症状が出現することが知られている.扁桃体は,刺激についての感覚処理の結果を受けてすばやく評価をくだし,ほかの多くの反応喚起にかかわる脳部位を活動させるという役割を担っている.ルドウーLeDoux,J.は視床から扁桃体への直接経路を低次回路,視床から感覚皮質を経て扁桃体に向かう経路を高次回路とした(pp. 180-1).

<参考>側坐核(そくざかく)
 大脳の内側に存在し,快感情にかかわる脳部位として知られている.電気刺激を与えると快感情が引き起こされることや, fMRIによる脳機能画像研究によって,快感情が引き起こされるような (たとえば報酬を得るなど) 状況において,この側坐核が活性化するなどの知見が報告されている.このような側坐核の働きは,脳幹にある腹側被蓋野 (ventral tegmental area) から投射されるドパミンによって調整されていると考えられている(p. 181).

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

N. 自律神経

O.苦痛(不快)

P.充足(快)

Q.興味

R.6ヶ月

S.1歳半

T.2歳

U.3年

↓ では私が第1回公認心理師試験で何%取れたのかが判ります(笑)。