口 秘密保持について説明できる。

 なぜ公認心理師はクライエント等の秘密を守らなければならないのか。仮に秘密を守らなかったとすると,クライエントは安心して公認心理師に心の内を話すことができない。また,秘密が守られないのであれば,現在のクライエントのみならず,公認心理師による援助が今後必要となる人々も,援助要請を諦めてしまうことが想像される。そうなると,支援を必要とする人々は行き場がなくなり,孤独で追い詰められた状況になってしまうおそれがある。

 クライエント等から伝えられた事柄を公認心理師が漏らさないということは,人々が心理的援助を受け,問題が緩和され,より多くの人々が幸福に生きることができるようにするために不可欠なのである。秘密を守ることは,公認心理師が社会に対して支援を提供することを可能にするためになくてはならない不可欠かつ最低限の条件である。

ロ 秘密保持の例外について説明できる。

1.明確で差し迫った[ A ]の危険があり,攻撃される相手が[ B ]されている場合

2.[ C ]等,自分自身に対して深刻な危害を加えるおそれのある緊急事態

3.[ D ]が疑われる場合

4.そのクライエントのケア等に[ E ]かかわっている[ F ]同士で話し合う場合(相談室内のケース・カンファレンス等)

5.[ G ]による定めがある場合

6.[ H ]による支払いが行われる場合

7.クライエントが,自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを[ I ]等によって提起した場合

8.クライエントによる明示的な[ J ]表示がある場合

ロ インフォームド・コンセン卜の具体的内容について説明できる。

1.[ K ]の内容・方法について

1)援助の内容,方法,形態,及び目的・目標は何か
2)その援助法の効果とリスク,及びそれらが示される根拠は何か
3)他に可能な方法とそれぞれの効果とリスク,及び,それらの他の方法と比較した場合の効果などの違い,及びそれらが示される根拠は何か
4)公認心理師が何の援助も行わない場合のリスクと益は何か

2.[ L ]について

1)秘密保持の仕方と限界について
2)どのような場合に面接内容が他に漏らされる。開示されるのか
3)記録には誰がアクセスするのか

3.[ M ]について

1)費用とその支払い方法(キャンセルした場合や電話・電子メールでの相談などの場合も含めて)はどのようにすればよいのか
2)クライエントが費用を支払わなかった場合,相談室はどのように対応するか

4.[ N ]的側面について

1)援助の時・時間,場所,期間について
2)予約が必要であれば,クライエントはどのように予約をすればよいのか
3)クライエントが予約をキャンセルする場合や変更する場合はどのようにすればよいのか
4)予約時以外にクライエントから相談室あるいは担当の公認心理師に連絡をする必要が生じた場合にはどのようにすればよいのか

5.公認心理師の[ O ]などについて

1)公認心理師の訓練,経験,資格,職種,理論的立場などについて
2)当該の相談室(等)の規定・決まりごとなどについて

6.[ P ]などについて

1)クライエントから苦情がある場合や,行われている援助に効果が見られない場合には,クライエントはどのようにしたら良いか
2)クライエントからの質問・疑問に対しては,相談室・臨床家はいつでもそれに答えるということ
3)カウンセリング(など)はいつでも中止することができるということ

7.その他

1)当該相談室は,電話やインターネット,電子メールでの心理サービスを行っているかどうか
2)(クライエントが医学的治療を受けている最中であれば)当該相談室は担当医師とどのように連携をとりながら援助を行うのか

ロ インフォームド・コンセントの重要性について説明できる。

  クライエントとの間でインフォームド・コンセントを得ることは,クライエントの権利を尊重し,情報の扱いについて明確化するのみならず,心理職に対するクライエントからの評価を高め, 心理的援助に対するクライエントの理解を促進すことが示唆されている。インフォームド・コンセントは,職業倫理的にも心理的支援の実践上も,不可欠な要素なのである。


『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より




A.生命

B.特定

C.自殺

D.虐待

E.直接

F.専門家

→ 学校での諸問題や虐待,さらには職場への適応などの点で,チームによって援助を行うことが増えている。この場合の援助チームは,公認心理師のみならず多様な人々で構成される。法律上,秘密保持を定められている職種の専門家も関わっている場合もあるが,そのような規定のない職種や,場合によっては一般の人がチームに加わることもある。また,一口に法律上の秘密保持を定められている職種といっても,各職種の教育訓練内容の違いや個々人のとらえ方の違いなどによって,クライエントの「秘密」をどのように扱うか,違いがあることも事実である。このような状況もあり,いわゆるチーム内守秘義務については法律上課題があることが指摘されている。

→ クライエントに関する情報を第三者に提供する必要のある場合は,クライエント本人にその理由と目的を伝えて同意を得ること,提供する情報は,その目的のために必要な情報に限定し,提供する相手を,当該の問題と対応に明らかに関係していると判断される人々に限定すること,提供される内容と相手についてクライエントの同意を得ること,すなわちインフォームド・コンセント(*)が必須である。これらに加えて,援助チーム内において,情報の取扱いに関して共通理解・対応がなされるよう,明確かつ具体的なルール作りが求められている。

*インフォームドコンセント=説明と同意

G.法

H.医療保険

I.裁判

J.意思

→ たとえクライエントが許可したとしても,公認心理師がクライエントに関する情報を他者に伝えるということは重大なことである。クライエントが許可する場合は,以下の3点を吟味することが必要である。

誰に
 誰になら話しても良いのか,誰が問い合わせてきたら伝えても良いのか。「話しても良い」「知らせても良い」というクライエントの言葉を聞いた時に,まず最初に公認心理師が尋ねるべき質問である。クライエントが想定している相手と,公認心理師が考える相手とが異なっている場合もある。クライエントが許可する開示対象者は誰であるのか,公認心理師が具体的に尋ねて明確にすることがまず必要である。

何を
 自分がその相談室に来談したという事実なのか,その相談室での相談内容なのか。自分自身が困っている問題についてなのか,特定の面接時における会話の内容なのか,特定の人物や出来事に関する発言なのか。公認心理師の側から尋ねることによって明確化する。さらに開示内容について,一層の明確化・具体化を求める。例えば,「ここで話したこと」と言われても,その相談室でクライエントが話したこと全てであるのか,それとも,その一部であるのか。もしも一部であるなら,具体的に何について,どの範囲までなら開示しても良いのか。クライエントが「ここで話したこと」と言ったとしても,その発言が実際には何を指しているのか。話しても良い事柄の内容と範囲は何か,明確化する。

何のために(何の目的で)
 最後に,何の目的であれば開示しても良いのだろうか。たとえば,必要な医学的治療を受けるためであれば良いのか,クライエントのことを心配している○○先生と協力して問題解決に取り組むためであれば良いのか,など,開示する際の目的についても明確にする。

K.援助

L.秘密保持

M.費用

N.時間

O.訓練

P.質問・苦情



『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より