口 公認心理師自身の専門的能力の範囲内において援助を行うことの意義を説明できる。

・公認心理師には,十分な教育訓練によって習得した自身の専門的能力の範囲内において援助を行うことが求められており,範囲外の事柄については,その事柄について適切に対応できる人に[ A ]しなければならない。心理療法の効果に関する研究では,クライエントの5〜10%に状態の[ B ]が生じることが示されているが,[ B ]をもたらす要因の一つに,心理職側の不十分なスキルが挙げられている。

 自身の専門的能力の範囲内で援助を行うためには,的確に[ C ]を行い,自分自身が対応できる範囲内の事柄なのか,迅速に判断する必要がある。例えば,クライエントが気分の落ち込みを示している場合,それは公認心理師である自分が対応できる事柄なのか,医師に対応を委ねる必要があるのか,正確かつ迅速に判断しなくてはならない。

口 明確で緊迫した危険への対応について説明できる。

・[ D ]以後の判決は,[ E ]にとどまらずに犠牲者となり得る人を積極的に[ F ]することを求めていることから,「保護義務」と呼ばれるようになっている。また,生命の危険という点では[ G ]も同様であるため,この義務は現在では[ G ]についても適用される。

 保護義務が発生する状況は,‥事者間に特別の[ H ]に裏付けられた関係が存在する状況において,犠牲者となり得る人が[ I ]できること,かつ,L棲里農敘した[ J ]が存在する,また,その危険が[ K ]できる場合である。

 ここでのポイントは◆覆燭世掘ぜ殺の場合はすでに特定されている。)とである。この判断はいずれも容易ではない。しかし,公認心理師は,状況に応じて,[ L ]についての危険あるいは[ M ]についての危険の心理的アセスメントを行い,危険が明確かつ切迫していると判断される場合は,最終的に上述の保護義務を履行する必要がある。もっとも,保護義務は公認心理師でなくとも適用される。・・・自身が行った事柄の明確な[ N ]が公認心理師には求められる。

口 他の専門職や関係機関へのリファー (照会・紹介) について説明できる。

・リファーはできるだけ早い時期,可能な限り初回の時点で行う必要がある。早い段階でのリファーに関する判断を可能にするためには,[ O ]の時点における的確な心理的アセスメントが不可欠である。一方,下記回のように,クライエントとある程度の期間面接等を行ってからリファーしなければならない場合もある。

『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より




A.依頼

B.悪化

C.心理的アセスメント

D.タラソフ判決

*タラソフ事件:タラソフ(女性)を殺害したポダー(男性)は、当時、精神科に通院していた。彼は診察室で治療者ムーアに対し、自分はタラソフを銃で撃つ、と宣言した。,ムーアはこのことをタラソフに知らせなかった。後日、ポダーは宣言の通りタラソフを射殺した。そしてタラソフの両親が訴訟を起こした。ポダーがタラソフを殺害する可能性があることを知りながら、タラソフに知らせなかったことについて、ムーアをはじめとする関係者を訴えた事件。

E.警告

F.保護

G.自殺

H.信頼

I.特定

J.危険

K.予測

L.他殺

M.自殺

N.記録

O.初回面接

→ リファー:他の適切な専門家に照会・紹介すること。異なる専門職間で連携することのひとつ。

【補足】
 心理職がクライエントを担当している際自分の専門, 知識・技術, 経験などで,対応が困難と判断したときに行うのが,他機関への紹介あるいはリファーである.法律的な問題の場合は,弁護士,司法書士などの専門家に,経済的な困窮の場合は,行政機関の福祉担当者に,そして医学的な問題の場合には医療機関への紹介が必要となる.

 公認心理師がクライエントを医療機関に紹介する場合,内科,産婦人科などの身体科と,メンタルの対応をする精神科・心療内科の2つに分けられる.たとえば,カウンセリングをしているクライエントカ胸痛を訴えているときは,まずは内科での相談をすすめるであろう.また,クライエントに精神的な症状があるなど精神科医と連携する必要がある場合,精神科・心療内科にリファーすることになるだろう.

 一方,カウンセリングを行いながら,薬物療法の必要性も感じた場合,クライエントの意向をふまえたうえで,精神科医に薬物療法の依頼をすることもある.このような場合は「コーディネーション」という.カウンセリングと薬物療法という2つのサポートは独立している.コーディネーションとは,クライアントを紹介するだけでなく,紹介先の専門家や専門機関と積極的に情報交換を行うことでもある.『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

【補足】
 他機関にリファーを行う場合には,インフォームド・コンセントの原則から複数のリファー先を公認心理師が提示して,クライエントが次の機関・専門家を自身で決めることができるよう,援助する必要がある。また,この場合には,次の機関や専門家ヘクライエントについて情報提供を行う場合があるが,この情報提供についてもクライエントの承諾を得た上で行わなければならない。『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より

【補足】
 「注意の標準」とは,「特定の情況のもとでの過失の有無を判定するための標準」であり,通常は,「その情況におかれた通常人が払うと考えられる注意の程度が基準となる」が,「医師のように特別の技量を要する職業にある者の業務に関しては,その職業に従事する者としての通常人の基準による」とされている。心理職の場合,「注意の標準」の判断基準とみなされるのは,国内外の学会等が作成している種々のガイドラインといえよう。『公認心理師現任者講習会テキスト』(金剛出版)より