【問題90】

13歳の中学生による教師への暴力事件に関する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけた場合,下のa〜eの組み合わせの中から,正しいものを一つ選びなさい。

A. 13歳で刑罰法令に触れる行為をした子どもに対しては,刑事責任能力(有責性)を問うことができない。

B.学校内で起こった教師への暴力事件は, 教師や学校臨床心理士 (スクールカウンセラー)が中心となって,学校内で解決することが望ましく,警察の関与は避けるべきである。

C.13歳の少年による事案であっても,その非行性や要保護性いかんによっては,少年院への送致があり得る。

D.今後,家庭裁判所が関与した場合,中学校には,この少年の生活行動状況や成績などに関する情報提供が求められる。




14歳に満たない触法少年
による学校内での暴力事件の処遇や対処の手続きについて,法律上の観点に即して理解しておくことは,特に学校臨床等に携わる臨床心理士にとって必要な知識である。

A 正しい(○)。刑法第41条 「14歳に満たない者の行為は, 罰しない」とされている。そのため, 児童福祉法の措置に付されることになろう。

B 誤り(×)。暴力事件の場合,教師やスクールカウンセラーのみによる学校内での問題解決を図ることは,むしろ困難であることが多い。

C 正しい(○)。 2007年改正の少年法第24条(保護処分の決定)において,「特に必要と認める場合に限り」少年院送致ができることが定められている。

【橋口(2018)追記】
第二四条 家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一 保護観察所の保護観察に付すること。
二 児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
三 少年院に送致すること。

【橋口(2018)追記】
 少年院は,家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し,その健全な育成をはかることを目的として矯正教育社会復帰支援などを行う法務省所管の施設で,全国に52か所設置されている.少年の年齢や心身の状況により,第1種から第3種保護処分の執行に分けて設置されており,どの少年院に送致するかは,家庭裁判所において決定される.そのほか,刑の執行を受ける者を収容する第4種少年院もある.

 少年院の種類ごとに,在院者に共通する特性に応じて,矯正教育の重点的な内容と標準的な教育期間を定めた矯正教育課程が設けられている.そして各少年院が,矯正教育課程ごとに,矯正教育の目標,内容,実施方法を少年院矯正教育課程として定め,一人ひとりの特性および教育上の必要性に応じ,より具体的な個人別矯正教育計画を作成する.入院後は,3級 (自己の問題改善への意欲の喚起をはかる指導),2級 (問題改善への具体的指導),1級 (社会生活への円滑な移行をはかる指導) の順で進級する段階的な処遇を行う.

 矯正教育の内容としては,自立した生活のための基本的な知識および生活態度の習得を目指しており,個別面接,集団討議各種教育プログラム〔薬物非行防止指導,性非行防止指導,ソーシャルスキル・トレーニング(SST:social skill training), 被害者の視点を取り入れた教育など], 職業指導,教科指導等が行われている。

『公認心理師必携テキスト』(学研プラス)より

D 正しい(○)。少年法第16条「家庭裁判所は,……学校,病院その他に対して,必要な協力を求めることができる」とされている。